テラーノベル
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スタジオの屋上。薄曇りの空の下、ふたりの男が真剣な表情で向き合っていた。
「……しょーちゃん、ガチだったよね」
「“いちばんずるい”って、完全に堕ちてた」
Ifとりうらが、同時にため息をついた。
しばし沈黙。
「——でも、俺、諦めないから」
りうらが言った。
「……俺も」
Ifが応じる。
目が合う。二人の視線に、決意が宿る。
「目的は同じだよね?」
「なら、協力……するしかないな」
握手。
「作戦名は……“しょーくん大奪還作戦”でどう?」
「ダサすぎる。もっとカッコよくしよう」
あーだこーだ言いながら、史上最もゆるくて本気な共闘が始まった。
――翌日。
スタジオでの初兎は、なんだかそわそわしていた。
ないこには昨日の話をからかわれ、顔が赤くなるばかり。
「……あれ?りうらとまろちゃん、なんか今日仲良い……?」
普段なら口げんかする二人が、今日はやたら連携していた。
「しょーちゃん、これ飲む?」
「いやいや、俺が持ってきたこの限定ドリンクの方がいいって。しかも冷えてる!」
「椅子座って!背もたれ調整してやるから!」
「膝の上乗る?」
「いらないいらないいらない!!!」
初兎、混乱。
ないこが後ろからその様子を見て、ふっと笑う。
「……そういうのも悪くないよな」
リーダーの余裕を滲ませつつ、黙って初兎の後頭部に手を置く。
「お前の取り合い、盛り上がってきたな」
「やめて、煽らないで……!」
初兎の平穏な日常は、
突然始まった“二人 vs リーダー”の三つ巴甘々バトルで、もう戻れそうになかった——
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