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「しょーちゃんってさ、やっぱ俺が一番似合うと思うんだよね」
りうらがぐいっと初兎の肩を抱き寄せて、自信満々に言った。
「は?何言ってんの、しょにだは俺にだけ見せる顔があるんだから」
Ifが逆側から腕を絡めて、あざとさ全開で攻め返す。
「……お前ら、朝からそれやるなって」
ないこが軽くため息をつきながら、いつもの飄々としたトーン。でも、
その手はいつのまにか、初兎の頭に添えられていた。
「……なんで俺、こんなに囲まれてるの……?」
ソファの中央、挟まれるように座らされた初兎は、もはや顔真っ赤。
逃げ場もないし、誰も離れてくれない。
りうらは耳元で囁く。
「今日は収録終わったら、俺と映画、ね?」
Ifが対抗してすかさず。
「いや、先に約束したの俺だし。しょにだ、覚えてるよね?」
ないこはそのふたりを軽く制して、
「お前らケンカすんな。じゃあ、三人で連れて行けばいいんじゃね?」
「えっ!? えぇぇえええ!!?」
「だって、初兎ちゃん、“誰か”なんて選べないでしょ?」
ないこの言葉に、初兎は動きを止める。
(……そう、なんだよな。誰か一人なんて、選べない。みんな……好き、なんだ)
「じゃあさ、もう決めたら?」
りうらが初兎の目を覗き込む。
「“みんな”って、言えばいい」
Ifもその隣でにこっと笑う。
「そうすれば、俺たちがちゃんと、全力で甘やかしてあげる」
ないこは肩をすくめながらも、やわらかく言う。
「お前のこと、大事にするやつが三人もいて、悪い気しないだろ?」
「…………」
「……ずるいよ、みんな……っ」
頬を染めながら、初兎がつぶやいたその瞬間、
「「「決まりだな」」」
3人が同時に初兎にくっつき、
髪を撫で、肩に触れ、優しく微笑む。
「今日から、俺たちみんな、しょーちゃんのものね」
「いや、“しょにだが俺たちのもの”だから」
「ちがう。“みんなで、俺たちの初兎ちゃん”だよ」
初兎はもう、何も言えなかった。
恥ずかしさと、嬉しさと、愛しさに包まれて——
「も~~~ほんとに!!!みんなカッコいいが過ぎる!!」
顔を手で覆って転がるその姿を、三人は優しく見守る。
今日も、いれいすは最高に幸せでカオスだった。