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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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「ねぇ!名前は!?」

HRが終わると、突然声をかけられた。黒髪に桃色のバングカラー。右耳に花札のような耳飾りをつけていて、目もピンクだった。

「えっと…うん。雨乃こさめだよ。」

「俺LAN!後ろの席だよ」

元気なやつだなぁ。そう思いながらこさめは後ろの席に座っている青年を見つめた。こさめよりすこし高い身長。声は高めで、こさめと同じくらい。

「こさめ何部入るん?」

「え、こさめは……」

突然の問いに答えが詰まる。今日の朝、つかんだマイクの感触を思い出す。

「軽音部、かな。」

恐る恐る答えると、LANは目を輝かせた。

「ガチで!?俺も!ちなみになんの楽器?」

「こさめは楽器できなくて…ボーカルやな。」

「ボーカルかぁ…俺ギター。」


「今日はこれで解散とする。」

担任が言った。LANはこさめと一緒に帰りたいらしい。こさめもそれを許可し、廊下を歩く。なんだか心臓がドキドキする。


「軽音部に入るの、楽しみだなぁ。」

LANが言った。こさめは微笑んで頷いた。

「うん、楽しみだね。」

心臓のドキドキは不安よりも期待の方が大きい気がした。新しい友達、そして新しい日々が始まる予感がして、こさめは少しワクワクしながらLANと一緒に歩き続けた。春の風が心地よく、二人の間に新しい友情の芽が育ち始めるのを感じていた。


「ふざけてんのか!」

昇降口を出ると、突然背後から大声がした。振り返るとそこでは四人、男子が喧嘩していた。

「べつにふざけてねぇよ!」

「肩ぶつけたんやから謝れや!」

「お前がぶつけてきたんだろ!」

「いるま落ち着けって…!ここでやり合ってる時間が無駄だろ。先輩にも失礼だし。」

「………帰るか」

紫色の髪の毛の男子は、金髪の男子に咎められて落ち着いたようだ。おそらく相手は三年生。殴りかかったとしても勝てないだろう。そう思ってLANの方を振り返ると、

………LANくんがいない!?

「お前らァ!先輩だからっていい気になるなよッ!?」

「え、LANくん?」

さっきの先輩に後ろから殴りかかっていた。

「あぁ!?なんだテメェ!」

「この野郎!!」

「ら、らんくん!?!?」

こさめは止めようとLANの方へ走った。

「やめて、LANくん!」

「こさめ、引っ込んでろ!」

LANは叫んだが、こさめは構わずLANの腕を引っ張った。紫髪の少年と金髪の少年も駆け寄ってきた。

「だめだよ、LANくん!こんなことで怪我したらどうするの?」

「けど…!」

「お願い、行こう。」

こさめの真剣な眼差しに、LANはしばらく黙っていたが、やがて肩を落として頷いた。

「わかったよ…」

こさめはホッとし、LANを引き連れてその場を離れた。先輩たちも何も言わずに見送った。

二人はしばらく無言で歩き続けたが、やがてLANが口を開いた。

「ありがとう、こさめ。」

「ううん。無事でよかったよ。」

こさめは微笑み、LANも少しだけ笑顔を見せた。春の風が二人の間を吹き抜け、緊張が和らいだように感じられた。これからの日々も、いろんなことがあるだろうけれど、二人で乗り越えていける気がした。

その時、さっき喧嘩していた紫髪の男子と金髪の男子が近づいてきた。紫髪の男子が先に話しかけてきた。

「さっきは悪かったな。お前らに迷惑かけた。」

「いや、こちらこそごめん。おれもついカッとなっちゃって…」

LANが申し訳なさそうに頭を掻いた。

「いるまって言うんだ。こいつは暇72。」

金髪の男子が軽く手を振った。

「暇72です。二人ともありがとうな。助けてくれて。」

「ううん、何もしてないよ。」

こさめが謙虚に答えた。

「でも、お前たちの仲良さそうな姿を見て、少し落ち着いたよ。いるまもそうだろ?」

いるまは照れくさそうに頷いた。

「ああ、確かに。お前たちの姿を見て……LANはちょっときしょいけど…昔思い出したわ」

「ひどくない!?っていうか、昔の自分?」

LANが興味津々で尋ねる。

「そう。俺たちも昔はもっと仲良かったんやけど…いろんなことがあって…まあ、いろいろさ。」

暇72がいるまの肩をポンと叩いた。

「でも、これからは変われる。高校生やし。そうだろ、いるま?」

「…そうだな。お前たちに出会えて、少しだけ希望が見えた気がする。」

「よかったねぇ」

こさめが優しく微笑んだ。

「そうだ、俺たちも同じ軽音部に入らないか?」

LANが提案した。

「みんなで楽しくやろうよ。」

いるまと暇72は顔を見合わせた。少しの沈黙の後、いるまが口を開いた。

「それも悪くないかもな。」

「そうやね。」

暇72も賛成の意を示した。

「決まりやな!」

LANが嬉しそうに声を上げた。

こうして、新たな仲間たちとともに、新しい生活が始まった。桜の花びらが舞い散る中、彼らの未来は希望に満ちていた。


「おぉ…喧嘩してる…」

すちは先輩が喧嘩しているのを遠くから見ていた。先輩に紫髪のひとを金髪の人が宥めている。

「大丈夫かな…って、えぇ!?」

落ち着いたと思ったら、今度は別の男子が先輩に殴りかかった。桃色髪の少年。水色の男の子が必死で宥めている。

「おぉお……すごい喧嘩してる…」

すちはそれをしばらくながめて、さっき喧嘩していた二人に声をかけた。桃色の人と水色の人とは分かれていたようだ。

「ねぇ、大丈夫?」

紫髪の男子が振り返り、少し驚いた表情を見せた。

「ああ、何とか。さっきの喧嘩、見てたのか?」

「うん、でも、なんであんなに激しい喧嘩になったの?」

金髪の男子が苦笑しながら答えた。

「いるまがちょっと感情的になっちゃってさ。先輩たちに謝るのが遅れただけなんだ。でもLANとこさめが加わって、さらに混乱した。」

「LANって、あの桃色の?」

「そう、俺たちの同級生。あいつら…LANとこさめも熱くなりやすいっぽいんだよ。」

金髪の男子が肩をすくめた。

「俺は暇72。こいつはいるま。お前は?」

「すちだよ。なんか大変だったね。」

「まぁ、これが日常なんだ。」

いるまが苦笑した。

「でも、仲直りできたみたいでよかった。…そのLANくんとこさめくんも無事そうだし。」

すちが安心したように微笑んだ。

「そうだな、あいつらには感謝しないとな。」

いるまが真剣な顔で言った。

「うん、これからはみんなで仲良くしよう。そうだ、すちも軽音部に興味ない?」

暇72が提案した。

「え、軽音部?」

「そう、LANたちと一緒に入る予定なんだ。すっちーも入る?」

「面白そうだね。ちょっと考えてみるよ。」

「それなら楽しみにしてるよ。」暇72が笑顔で言った。

こうして、すちもまた新しい仲間たちと出会い、新たな生活が始まった。彼らの未来は明るく、希望に満ちていた。


「ん?」

みことは足を止めた。目の前を歩いていた三人の人のうち一人が、何か落としていった。「72」の形をしたヘアピン。咄嗟に拾って、届けに行った。

「これ、落としたよ!」

みことが声をかけると、金髪の人が振り返った。

「え?あ!?」

暇72が驚いた様子で頭に手を当てた。

みことがヘアピンを手渡すと、暇72は嬉しそうに受け取った。

「ほんと助かったよ。俺、暇72。お前は?」

暇72が尋ねた。

「みことだよ。」

みことがにこやかに答えた。

「俺はいるま。ありがとう、みこと。なつのヘアピンはお守りみたいなもんだから。」

紫髪の少年が言った。

「すちです。どうもありがとう、みこと君。」

すちも礼儀正しくお辞儀をした。

「どういたしまして。」

みことが元気よく答えた。

「一緒に帰ろうか?」

暇72が提案した。

「やったぁ!」

みことは笑顔で答えた。

「なっちゃんは何部にはいるん?」

「俺はぁ…軽音部かなぁ」

「俺も多分軽音部」

「おれはぁ…美術部か軽音部かなぁ」

「ふぅん…みんなが軽音部入るんやったらおれも軽音部入ろ!」

「みこちゃんが入るならおれも軽音にしようかなぁ」

みことが嬉しそうに飛び跳ねた。その光景にすちは優しく微笑んでいた。

た。

「じゃあ、全員軽音部?ってことでいいんか」

いるまがまとめた。

夕暮れの道を、四人は仲良く歩き続けた。新しい友達と一緒に過ごすこれからの日々に、みんなが心からワクワクしていた。

六茫学校シクフォニ軽音部

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