テラーノベル
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〈ピピッピピ
目覚ましの音に意識が浮上し、
無意識に手を伸ばして動きを止める。
一度、布団の中で呼吸を確かめ、
冷えた空気を避けるように肩をすくませ、
足元だけ先に床に下ろす。
布団の上には小さな住人が体を丸くして、
気持ちよさそうに眠っている。
莉犬 「 ふわぁぁ、」
小さくあくびをしながら、リビングに向かって会社に向かう準備をする。
〈カタカタカタ
小さな住人も目を覚まして、俺がいるリビングに向かってくる。
莉犬 「ふふ、かわいいね」
彼らの頭を撫でると甘えるように体を擦り付けて、 体を預けてくる。
ペットたちのご飯を用意して、
完食するのを見守りながら、
スマホを起動してもうすっかり当たり前となったエゴサをする。
俺が「みんなおはよぉ」と呟くだけで、
リスナーは嬉しそうにリプをしてくれる。
これだってもう、慣れた日常だ。
もちろん、飽きたとかではなく変わりの しない日常が毎日のようにくる、この日常に 幸せを
毎日のように感じている。
少しすると、緑の彼からのリプがあった。
「おはよぉ、 今日もかわちぃなぁ…👀」
俺はすかさずにリプを返す。
「こわいよぉ…😱」
これだって思えば、日常の一部だ。
今日は、るぅと君と一緒に出社する予定だ。
だから朝ごはんを食べる必要がない。
1人で行けないわけではないが、
1人で行くのはなんとなく気が引けてしまう。
今日は生憎の雨で、傘を刺さなければならないため折り畳み傘をバックに仕舞い込んで、
帽子をかぶる。
派手に染めた髪は、帽子をつけなければまるでパトカーの電気のようだ。
周りから見られるのはあまり得意ではないので、帽子を深く被りなるべく髪色がバレないようにする。
少し大きめの黒いマスクをして、外に出る。
外は今にも雨が降りそうな暗い雰囲気を醸し出しており、昨日には感じられなかった寒さを感じ、思わず体を震わせてしまう。
動かない体に鞭を叩くようにして、
一生懸命に足を運んで集合場所に向かう。
電車に乗ると、早朝だからなのか人はあまり乗っておらず、がらんとしていた。
電車に流れるニュースを見ると、大寒波が自分たちを襲っていることを知った。
そう思うとこの寒さにも納得してしまう。
メッセージアプリを開くと、るぅと君からは
もう集合場所に着いているという連絡が入っていた。
寒いところ待たせてしまうのは申し訳ないが、
電車を早く動かすことは出来ないため、
仕方なくゆっくりする。
莉犬 「ごめん!少し待ってて!」
もちろん、メッセージは忘れずに送る。
既読無視は怖いから。
最寄駅につき、るぅと君の姿を見つけると少し
早歩きをして肩を叩く。
吐く息は、白く広がっていく。
るぅと 「わぁ、莉犬!!」
るぅと 「びっくりしたぁ笑」
そういう彼は目を見開いて、笑ってくれた。
るぅと 「朝ごはん何食べよっか」
彼は優しいからいつも俺に聞いてくる。
莉犬 「今日はるぅちゃんが選んで!」
そういうと、彼は少しびっくりしたような顔をしてすぐに考え込んでいた。
るぅと 「うどん食べたい!!」
莉犬 「うどんいいね!!食べたい!」
そういって、よくいくお店に向かう。
るぅと 「今日、めっちゃ寒いよね」
莉犬 「え、わかる!!」
莉犬 「大寒波らしいよ」
るぅと 「今年もそんな時期になったかぁ」
俺よりも高い背丈で話す君は、やっぱり
どこから見てもかっこいいのだと実感する。
〈けほっ、
喉の違和感に気づきつつも、いつものことだと受け流す。
るぅと 「あ、莉犬、気をつけるんだよ?」
莉犬 「へ、?あぁ、うん」
るぅと「あ、まって寒いでしょその格好」
いつものように薄着で過ごす俺。
どんなに寒くても、厚着をするのは動きにくいから避けてしまう。
莉犬 「え、悪いからいいよ…」
そんな俺の言葉を無視するように、るぅと君はさっと俺の首にマフラーを巻き付ける。
俺のマフラーは、少し前に無くしてしまったからもう家にない。
るぅと 「これでよし!」
莉犬 「ま、待ってよ、よくない!」
るぅと 「よくなくない!」
るぅと 「僕が莉犬に付けて欲しいの!」
るぅと 「それじゃダメ?」
首を傾げて、甘い目で俺を見る君。
そんな顔された断れるものも断れないじゃないか。
莉犬 「じゃあ、つける…」
るぅと 「ふふん」
満足そうに笑って、すこし早くなる速度。
見るだけで、どう思っているのか分かってしまうようなそんな素直な君はすごく可愛い。
るぅと 「うわぁ、あったかぁぁい」
莉犬 「ほんとだぁ、生き返る笑」
いつものように、端っこの席に対面で座り合って一緒に談笑し始めた。
2人とも自分から積極的にお酒を頼むような性分ではないので、この時間は天国のようだ。
まぁ、昼からお酒を飲むやつなんて青やぎだけだろうけど。
そんなことを考えながら、美味しいうどんを啜って体を芯から温めていく。
るぅと 「これ美味しい…!」
るぅちゃんが食べているのは期間限定の たまごうどん。
もちろん、いつでも存在自体はしているがこの時期になるとトッピングが色々と変わるのだ。
るぅと 「僕、お手洗い行ってくる!」
莉犬 「はーい」
るぅちゃんが帰ってくる前にお支払いをしてしまおうか、考えてしまう。
変に気を遣わせしまうような気もするし、
その後の会話は面倒臭い。
結局支払いはせずにゆっくり待つことにした。
〈ごくっ、ごくごく、
〈けほっ、けほごほっ、
冷えた水を飲み込むと、体が驚いて変なところに入ってしまった。
〈けほっ、げほっ、ごほッ
るぅと君が帰ってくる頃には治したいのに、
この季節になるとどうしても止まるのに時間がかかってしまう。
るぅと 「莉犬!!」
るぅと 「大丈夫?薬は?」
そう言って、俺の背中をさすってくれた。
〈ふるふる
軽く頭を振ってないことを示す。
いつもは持ってきているけれど、今日はそんなに重い予定でもなかったので薬は持ってきていない。
なんて運が悪いのだろう。
るぅと 「落ち着いた?」
莉犬 「うん、もう、だいじょぶ」
まぁ、そんなこと言っても信用ないだろうな。
そんなことは分かっているけれど、
大丈夫だと言うことは伝えたかった。
るぅと 「今日帰りましょう?」
るぅと 「軽いとはいえ仕事は仕事です」
るぅと 「心配です僕」
莉犬 「もう、心配性だなぁ笑」
莉犬 「俺もう元気だよ笑」
莉犬 「ほら、早く行こう?」
莉犬 「お金はらっちゃおっかなぁ?」
ちょっと、やりすぎちゃったかな。
るぅと 「あ、ちょ、待って!」
るぅと 「お金払う!!」
ごめんね。
俺のせいで仕事を止めるなんて、俺には出来ないよ。
お金は割り勘で払うことになって、お互いお金を出し合った。
るぅと 「じゃあ、僕あっち行きますけど」
るぅと 「辛かったら帰りましょうね」
なんて、君は言うけれど。
俺は君の優しさに甘えられない。
莉犬 「うん!わかった笑」
莉犬 「仕事がんばってね!」
今日俺がしなくちゃいけない仕事は、
前に歌った歌の下手なところを修正して歌うことだ。
もうすでに、どの箇所がどんなふうにダメなのかは伝えられているため、すぐに楽譜に向かって歌い出した。
〈あ〜♪
〈んぐッ、げほっ、ごほ、
あぁ、やばい、変なとこ入れた。
〈げほッ、ごほっひゅぅ、、
スマホ、スマホはどこ、、
〈ひゅーはッ、ふぅッ…
元々目が悪いこともあって、目が少し霞むだけ視界は一気に悪くなる。
〈がちゃんっ、がしゃん!!
莉犬 「痛いッ…!!!!」
背中に激痛が走る。
何かが当たったのだろう。
目の前が霞む。
? 「り…ぬ!!!!!!!!」
? 「莉犬…!?大丈夫!?」
? 「莉犬君!?」
目の前にはころちゃんがいて、すごく焦っているのが伝わってくる。
ころん 「薬は?どこにあるの?」
莉犬 「なぃッ…げほっ、」
ころん 「ちょ、バカなの!?」
ころん 「後輩に持ってる子いるから」
ころん 「待ってて!!!」
ころん 「LINEでよぶ!」
ころん 「痛いとこある?」
莉犬 「せなぁ、ッ…はぁッ」
ころん 「背中か、ちょっとみるね?」
ころん 「うわ、痛そう、」
ころん 「ちょっと青あざになってる」
ころん 「湿布ももらおうか」
ころん 「いいこ、いいこ、」
さとみ 「お前らどうした?」
ころん 「さとみくん!!」
ころん 「ここら辺かたせる?」
さとみ 「おけ、まかせろ」
さとみ 「莉犬は?どうしたの?」
ころん 「ちょっといろいろやばい」
さとみ 「うわ、背中やばいな」
さとみ 「息結構荒いな…」
さとみ 「他のやつ呼んだの?」
ころん 「すぐ来ると思う」
ごめん、2人とも。
俺も、辛い。苦しい。辛いよ。
?「先輩!!!!」
ころん 「ありがと!!」
ころん 「使っちゃって大丈夫?」
?「もちろんです!!」
ころん 「使い方わかる?」
? 「はい!やります!」
ころん 「頼んだ!」
?「莉犬君、いきますよ?」
?「せーので吸いましょう」
?「せーの!」
莉犬 「ひゅッ…」
?「上手ですよ、もう一回しましょう」
?「せーのっ!」
莉犬 「はひゅぅッ…」
莉犬 「はぁ、はぁ、はぁ、…」
少し前まで荒かった息が少しずつ正しくなる。
ころん 「はぁ、心配したぁ」
さとみ 「莉犬、今日は帰ろう?」
さとみ 「るぅとも心配してたよ」
あぁ、他のやつにも言っちゃったんだ。
るぅと 「莉犬!!!」
るぅと 「もう無理するなって…」
莉犬 「ごめんなさッ…」
さとみ 「とりあえず疲れただろ」
さとみ 「寝かせとけよ」
さとみ 「誰かの家にでも泊まらせてやれ」
ころん 「じゃあ、さとみ君家かな」
さとみ 「は、てめ!」
るぅと 「莉犬のためです!!」
さとみ 「仕方ねぇなぁ、」
るぅと 「久しぶりですね笑」
ころん 「2人も呼んでみんなで行こ!」
莉犬 「そんなの悪いよ…」
莉犬 「俺帰れる、ペットもいるし…」
るぅと 「ペットは後輩に任せましょう?」
るぅと 「緑の人とかやってくれますよ?」
るぅと 「泊まりそうですけど」
いくら、ぷりちゃんでも限度ってもんがあるでしょう。
ぷりっつ 「呼びました??」
ぷりっつ 「莉犬君!?大丈夫ですか!?」
莉犬 「あはは、大丈夫、笑」
ころん 「どこかだ馬鹿」
そんなこと言われながら、軽くおでこにビンタされる。
ぷりっつ 「莉犬君の家行ってきます!」
ぷりっつ 「後で行きますね!」
ぷりっつ 「さとみ君家ですよね!」
るぅと 「そうですけど…笑」
本当に良い友達を持ったな。
ちょっとお節介だけど。
今日は、もういいや。
そうして俺は目を閉じた。
俺を愛してくれる人たちに囲まれて。
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最高ですありがとうございます?!続きも待ってます!