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S100世界
気づいたときには見知らぬ海が目に入った。どうやら、三人も巻き込まれたようで、浜辺で気を失っている。太陽が暑苦しく照っていることからするに、今は夏なのだろう。
T1クロウリー「みなさん、無事ですか!?」
寝ている人を起こすように、少し大きい声で呼んだ。すると、少し顔を歪ますながら起き上がる。そして、口を揃えて叫んだ。
T1世界「ここどこー!?」
耳をつんざくような叫びだった。
T1クロウリー「落ち着いてください!」
あくまで憶測だが、明らかだ。
T1クロウリー「おそらく、ここは並行世界です」
T1世界「えっ?」
本日二度目の叫び声があがった。ここまで叫んでいれば、人の一人や二人やってきてもおかしくない。そう思い辺りを見渡すと、森に繋がる茂みが動いているのがわかった。敵意は感じないが誰かが来ることは確かだった。
…しばらくして茂みが晴れる。
T1クロウリー「アーシェングロットくんにリーチくん!?」
茂みから出てきたのはアズール・アーシェングロットとジェイド・リーチだった。
二人は驚いたように目を見開く。
T1デュース「先輩たちも境界鏡でここに来たんですか?」
T1セベク「にしては服装がおかしいぞ」
デュースとセベクの問いに二人は「なるほど」と相づちうった。そして、説明をし始めた。
S100アズール「ここは「永遠に夏の世界」です。いわゆるアナザーワールドですね」
T1クロウリー「なぜ、そうと言いきれるんです?」
S100アズール「あなた方よりも前にアナザーワールドから来たかたがいるんですよ」
S100ジェイド「それに、境界鏡が教えてくれますよ」
二人が言うには境界鏡はアナザーワールド…並行世界へ渡ることのできる魔道具であり、その異界渡りには必ず意味があるものだということ。派生番号というものがあるということ。
アナザーワールドとは?
並行世界のこと。数えれば数えきれないほど広がる同じようで違う世界のこと。
派生番号とは?
0は原点100は頂点。派生は基本的に100までだが、希に例外がある。
とのこと。
T1クロウリー「なるほど。それで、私たちよりも前に来たという人物は?」
???「ボクのことかい?」
不意に凛とした声が聞こえた。声がした方を見るとそこには、リドル・ローズハートが立っていた。
説明しながら二人が住んでいるという家へ移動していたため、リドルは庭のパラソルの日陰のなかにいた。
T1エース「え?寮長?」
S101リドル「ボクは「永遠に夏の世界〈101世界群〉」から来たリドル・ローズハートだよ。今はこの世界で暮らしているんだ」
三人が暮らしてる家で泊めてもらうことになった。三人で過ごすには広すぎる家で、私たちが泊まってもまだ人が住めそうだ。家の扉をアズールが開けると中には夕飯の支度をしているフロイド・リーチがいた。来たときは気づかなかったが、もう夕方になっていた。この家…この世界にいるのは彼ら四人だけのようだ。
T1デュース「先輩たちの服装、ザ・海水浴って感じですよね」
食事中にふとデュースが呟いた。そう、四人の服装は生地は薄くできているがしっかりと肌を隠しているが、デザインが海に遊びに来ましたというような柄なのだ。
S100ジェイド「暑いですし、痛いですからね」
痛い?と首を傾げる。その反応にフロイドがニッしながら答えた。
S100フロイド「太陽の光を浴びると燃えちゃうんだぁ」
この世界では、太陽の光を浴びると肌が燃えてしまうらしい。だから、この世界で半袖にはならないほうがいいと言われた。
その日の夜、せっかくだからお泊まり会っぽいことをしようとエースが提案し、大部屋で寝ることになった。が、フロイドは「楽しそうだけど今日はやんなきゃいけないことがあるからまた明日ね」と言って自室へ行った。リドルはエースが提案した頃には寝ていた。アズールとジェイドは一緒に寝てくれるらしく用意をしていた。
枕投げ、トランプ、自分たちの世界のことで盛り上がった。途中、やることが終わったと言ってフロイドが眠そうに目を擦るリドルを連れやって来た。
T1エース「あれ?寮長まだ起きてたんすか?めずらしっすね」
エースが面白半分で疑問を口にすると、リドルではなくフロイドが答えた。
S100フロイド「引きずり起こしたに決まってんじゃーん」
その一言に、アズールとジェイドはため息を吐いた。「なにしてるんですか、あなた」とアズールが怒るが気にもとめず空いている布団へ潜る。リドルはジェイドに保護され、フロイドから離れた場所の布団で寝かせられた。なんだか慣れているようにも見える。騒がしい人が増えたが、みんな日付が変わる前には眠りについた。
──ここは夢?
見たことない空間。地につかない足。気持ち悪いような浮遊感。宇宙にいるみたいな景色。エース、デュース、セベクの姿も確認できた。ただ、アズール、ジェイド、フロイド、リドルの姿は確認できない。
ここはどこだ…
???「やぁ、『宇宙の狭間』へようこそ」
ふと、凛としているがまだ幼さの残る声が聞こえた。姿を確認しようと周りを見渡すが見つからない。エースたちが「ここどこだよ」「どこにいる」と口々に言っているが、姿を現す気配がない。
???「落ち着いて、ここは所詮夢の中。イマジネーションとイメージの世界。記憶と予想は似ているようで異なるから。ボクからキミたちに与えられる情報は声までだ」
一体なんのために。そんな疑問が全員の頭の中にあると思う。すると、まだ問いもかけていないのに、疑問に対する答えが降ってきた。
???「キミたちにはお願いしたいことがあるんだ。それは──各アナザーワールドの〝歪〟を取り除くこと。今回はその説明にここへ呼んだんだ」
全員が呆然とする。この異界移動…もとい境界鏡の出所はここだろうか。それなら先に言ってほしいというもの。
???「境界鏡はボクらもどこから出てきたのかは分からないんだ。それと、異界移動が思ったり早くてキミたちへの連絡が遅れてしまったんだ。すまなかったね」
心を読んでいるのだろうか。疑問や不満に対し、しっかりとした答えが返ってくる。
???「心は読んでいないよ。ただ、ここは夢だから」
読んでいると変わりないと思う。すると、静かに話を聞いていたデュースが問いを投げた。
T1デュース「それで、〝歪〟とはなんですか?」
次にセベクがつけ足した。
T1セベク「今いる世界でいう、永遠に夏ということか?」
そう、歪と一言に言われてもなんのことか分からない。代表的なのは大まかなところだろうか。
???「いや、永遠に夏の世界100世界群の〝歪〟は〝太陽〟だよ」
T1世界「太陽!?」
口を揃えて叫ぶ。予想外だった。太陽のなにが…
???「聞いてない?太陽の光が異常だって。」
そう言われあっと思い当たった。「太陽の光を浴びると燃える。」これが”歪”なのではないだろうか。「永遠に夏」ということはそのアナザーワールドの特徴であって、〝歪〟ではないのでは?
???「大正解。「永遠に夏」ということはそのアナザーワールドの特徴。本当の〝歪〟は「太陽の光」。「永遠に夏」だとか「永遠に冬」だとか大きな特徴がなければ並行世界とは言い難い。アナザーワールドでも、その中のオーバーワールドということになる。」
なるほど。が、セベクの顔が難しくなる。「その〝歪〟はどこにあるのか」という疑問が顔にでていた。
???「それは自分たちで探さなきゃ。ボクだって全てを観測しているわけじゃない。」
全員の顔が歪んだ。途方もないから。文句でも言ってやろうと考えたらしいエースが口を開こうとしたが、空間が歪んでいきあやふやになっていく。
???「キミたちなら大丈夫。アナザーワールドの住民も、手をかしてくれるいい人たちだよ。[ 例外はいるけど]どうかお願いね 」
──次は現実で会おう──
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