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🖤のSNSに届いた一通のDM。
「突然すみません。
私、今学校で孤立してます。
前にあなたのことも叩いていました。
でもドーム公演を見て考えが変わりました。
それでも、私は弱いままです。
どうしたら強くなれますか?」
画面を見たまま、🖤はしばらく動かない。
叩いていた、と正直に書いてある。
逃げてない。
🖤はゆっくり打ち始める。
「まず、正直に言ってくれてありがとうございます。」
送信。
少し考えて、続ける。
「強くなる必要はないです 。」
数秒後。
「俺も震えるし、怖いし、逃げたくなる。」
さらに。
「強い人なんていない。
逃げなかった瞬間があるだけ。」
既読がつく。
相手はすぐ返信できないみたいだ。
🖤は最後に打つ。
「孤立してるなら、無理に輪に入らなくていい。
一人でも立ってるのは、もう十分強い。」
そして。
「誰かを叩いてた過去があるなら、
今日からやめればいい。
人は変われる。
俺はそれを何度も見てきた。」
最後の一文。
「強くなりたいんじゃなくて、
自分を嫌いにならないでいられる方を選ぶ。」
送信。
既読。
数分後。
「泣きました。
生きてていいって言われた気がしました。」
🖤は少しだけ目を閉じる。
翌日
その相談者が投稿する。
スクショ付き。
名前は伏せられている。
《強くなる必要はない》
《逃げなかった瞬間があるだけ》
《自分を嫌いにならないでいられる方を選ぶ》
拡散が始まる。
爆発的に。
《めめの言葉えぐい》
《これアイドルの言葉?》
《救われた》
《アンチだったけど今は推してる》
メディアも取り上げる。
《若者に響くメッセージ》
学校関連アカウントが引用する。
《この言葉を生徒に届けたい》
フォロワーが急増。
でも🖤は何も宣伝しない。
ただ一つだけ投稿する。
「俺の言葉じゃなくて、
受け取った人が強い。」
それがまた拡散される。
《器でかすぎ》
《自分の手柄にしないのかっこよすぎ》
《だから推せる》
楽屋
🧡がスマホを見ている。
目が赤い。
「めめ……」
🖤が振り向く。
「なに」
「これ」
画面を見せる。
何万リポスト。
相談者の投稿には、感謝の言葉が溢れている。
「めめ、また救ってるやん」
🖤は首を振る。
「救ってない」
静かに。
「立つのは自分だよ笑」
少しだけ笑う。
「俺は、背中押しただけ」
🧡が近づく。
「それができるのがすごいねん」
🖤は少し困った顔。
「俺も押された側だから」
一瞬、🧡を見る。
言葉は少ない。
でも分かる。
数日後のライブ。
客席に、新しい顔が増えている。
MCで🖤が言う。
「最近、相談DM増えた」
会場がざわつく。
「全部は返せない」
正直に。
「でも、読んでる」
静かに。
「俺はヒーローじゃない」
一拍。
「でも、隣に立つことはできる」
歓声。
「強くなれなくていい」
ドームに響く声。
「自分を嫌いにならない選択をする」
ペンライトが揺れる。
涙を拭く人が増えている。
🧡が横で小さく言う。
「かっこよすぎ」
🖤が低く返す。
「お前の前だけな」
でも今日は違う。
客席も、その隣にいる。
アンチはほとんどいなくなった。
攻撃する空気が、恥ずかしい空気に変わった。
代わりに増えたのは、
「この人の言葉を聞きたい」
という人。
炎で増えたんじゃない。
覚悟で増えた。
優しさで増えた。
そして🖤は、また何も誇らない。
ただ、次のステージに立つ。
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舘様、誕生日おめでとうございます。
最近痩せてるよね…
心配すぎる
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