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五条悟と無惨の戦いは、空気を切り裂くほどの激しさを増していた。無惨が繰り出す「黒血枳棘」は五条を追い詰めるが、五条は防御を重ね、無惨を無力化していく。しかし、無惨はただの一歩も引くことはなかった。
「無駄だ、五条悟。」無惨の声には、深い怒りがこもっていた。その表情はただの冷徹ではなく、絶望に似た感情も浮かべていた。自分の血鬼術がなぜ効かないのか、五条の力がどれだけ強力であるのか、理解しつつもどうしても認められない。
その時、無惨は新たな技を思いついたのか、手をかざして呪力を集中させる。
「――黒血衝撃!」
無惨の血が膨れ上がり、周囲に波動を放出した。それは目に見えない圧力のように空気を揺らし、五条を中心にした範囲を猛烈に圧迫していく。黒い血の衝撃波が五条を包み込み、五条の無限を圧倒的な勢いで崩しにかかる。
その瞬間、無惨の「黒血枳棘」が再び五条に向けて放たれた。だが、今回はただの棘ではない。黒血衝撃が放たれると同時に、棘が五条の身体を貫くように勢いよく突き出したのだ。
「これで、終わりだ!」
無惨の血鬼術「黒血衝撃」は、棘の一つ一つに強烈な衝撃波を付与することで、五条を飛ばすだけでなく、その棘が身体に刺さった瞬間、衝撃波が内部から爆発するように作用する。五条の無限の防御をも一瞬で突破するほどの威力が込められていた。
五条はその衝撃に驚きながらも、何とか反応し、瞬時に身をひねって衝撃波の直撃を回避する。しかし、その隙を逃さず、無惨の黒血枳棘が一気に五条の肩を捉え、刺さる。
「ッ……!」
痛みと衝撃が五条を貫き、その身体は一瞬、空中に吹き飛ばされる。空中で姿勢を整え、五条は冷静に着地するが、その肩に刺さった棘からは黒い血液が滴り落ち、五条の体を蝕んでいく。
「……想像以上だ。」五条は息を吐きながら、無惨の攻撃を受けている自分に少しの驚きを覚えた。それでも、彼はすぐにその棘を引き抜き、再び戦闘態勢に入る。
だが、無惨は決して引かない。彼はすぐにもう一度、黒血の衝撃波を放ち、そのエネルギーを棘に込める。そして、その波動と共に、次々に棘が五条に向かって飛び込んできた。
五条はただでさえ早い反応速度で、その衝撃波を避けるが、そのたびに彼の足元が崩れ、前進が妨げられていく。無惨の術は着実に五条を圧倒しつつあった。
「負の連鎖だ……」無惨は目を細めて、さらに加速する。「お前の無限が崩れる時、崩れ去る。」
その瞬間、無惨が最後の一撃を放つ。黒血棘が放たれ、五条の体を次々に貫き、今度はその棘が五条の腹部に深く刺さった。
五条はそのまま倒れそうになるが、すぐに無限を発動して耐えきる。しかし、痛みとともに血液が溢れ出し、無惨の攻撃が一瞬、五条の体に影響を与えている。
「これが……」五条は低く呟く。「お前のやり方か。」
その言葉が無惨に届くと、無惨は冷笑を浮かべる。「私の血鬼術はただの攻撃ではない。君を圧倒し、最終的に完全に支配する――そのための術だ。」
五条は一瞬、苦しそうな表情を浮かべる。しかし、その目は決して諦めていなかった。無惨の術に対して、彼はまだ全力を尽くしていない。
「負ける気はしない。」五条は声を張り上げ、再び無限の空間を強化させる。「お前の力をいくら尽くしても、無限には勝てない。」
五条の目が輝き、周囲の空間が震え始める。無惨はその力強さに驚きつつも、再度、血鬼術を強化し、次の攻撃を仕掛けようとするが――