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ある日のことだった。珍しく友達の柊水和《ひいらぎすいわ》と図書室で話していた時。
「芽依ちゃん,一緒に生徒会選挙出ない?」
急にそういわれた。
「え。」
年に一度,生徒会のメンバーが入れ替わる。その醍醐味は何といっても選挙。生徒会になりたい人が演説を行い,応援弁士と呼ばれる人が生徒会になりたい人に投票してもらうために演説する。今までは避けてきたけどやってみようかなと思う。
「私は応援弁士すればいい?」
「いや?芽依ちゃんも生徒会に立候補。」
えっと,つまり私は応援弁士を探して…演説用の文章考えて…唯一の友達が立候補したからだれか探さないといけないんだよね?
「じゃ,私はもう応援弁士いるから芽依ちゃんも頑張ってね!」
水和が元気よく図書室から出て行った。
嫌なんだけど。嫌です。
「…どうしよう。」
どうせ生徒会にはなれないから適当に文章考えて,応援弁士はクラスの人でいいかな。
貰った演説用の原稿用紙に着々と文章を書きこんでいたときだった。
「何やってんの。」
榎煉だ。いつもと同じくしゃくしゃな髪で,紙パックのコーヒーを飲んでいた。
紙パックは校則で禁止されている。また校則を破った榎煉には何が起こるかわかったものじゃない。
「生徒会に立候補することになっちゃって。」
「へぇ。俺生徒会…?の参加したことえぇからどんなものかわからねぇんだよな。」
「大変なんだよね…」
ふうん,と言って私の席の隣に座る。原稿用紙を見つめてニヤニヤしていた。それよりコーヒーのにおいがすごい。
「芽依これ発表すんの?」
「うん。でもまだ応援弁士が見つかってなくて。あ,応援弁士って言うのはそのままの意味で,応援する助手?みたいな。」
「俺やっちゃダメ?」
えっ…可愛すぎませんか?榎煉君。君はそんな見た目なのにほんと,猫みたいですね。ギャップがありすぎですよ。危険。
「えっと…」
「芽依の事一番知ってるのは俺だと思うんだよね。芽依の親には負けるかもしれないけど。」
ね?いいでしょと言わんばかりに応援弁士用の原稿用紙をかたくなに話さない。一応,私と榎煉は他人設定,もしくは知り合い設定なんだよ?こんな会ってたらあいつら付き合ってるでしょってなるじゃん。応援弁士してくれるのはありがたいけども。
「じゃ,良いってことだね。」
カキカキ
「はい。これは俺のね。」
応援弁士用原稿用紙にマイネームで【かれん】とひらがなで書かれていた。この原稿用紙に変えはない。ということはこれは応援弁士は榎煉で決定になるのだ。
「えぇ…」
「俺,頑張る!」
全校生徒に私たち,付き合ってます!って言うようなもんだよ。私の心臓がはちきれそうです。助けて。