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私は水面の床にザブンと入り、安浦の元へと急いで歩き出す。水はかなり濁っていて、生ぬるくねっとりと私の足が先に進むのを妨害していた。


「ご主人様!  来ちゃダメー!」


散々、逃げ惑い疲れている顔で私に気付いた安浦は。怯えた目線をこっちに向けている。


「どうしたんだ?」


私は安浦が何から逃げているのか辺りを見回したが、何もない。この水の溢れそうな通路には、可愛らしい外行きの服、上半身もびしょびしょの安浦しかいない。


「水の底にいるの!  変な化け物!  だから、来ちゃダメ!」


安浦は涙声で叫んだ。


突然、安浦と私の間に何かが浮き上がった。目を凝らすと赤い血で出来た大きな塊を捉える。巨大なナメクジのようなものだった。


私はこの物体もキラーなのではと思うが早いか、


「この野郎!」


飛蹴りを放った。


ぐっしゃりとした感触ではなく、以外と硬い感触を覚える。次に素手で殴るが今度はぶよぶよとした感触だった。いずれも、巨大なナメクジはビクともせず。安浦へと向かっていく、私は巨大なナメクジに左手をかざして、その巨体を宙に浮かした。


何とも言えない。おぞましい姿が宙に浮いた。歯の光る口と目玉だけが到る所に無数にあり、それらが全て動いている。口は開閉を繰り返し目玉はぎょろぎょろとしていた。


「きゃあー!  ご主人様逃げてー!」


安浦は私の不思議な力を気付いていない。私に向かって振り絞るような悲鳴をあげた。


私はナメクジをそのまま宙に浮かしておいて、安浦の元へと濁水を?き分けながら進み、安浦の震える手をしっかりと取った。


安浦は、ボロボロの私の胸に顔を押し当て泣きだした。


「安浦。もう行こう」


泣き崩れそうな安浦の頭を撫でながら、私は水浸しになった安浦と共に呉林のところへと戻る。見ると……巨大なナメクジはその後、恐ろしく肉塊が歪みだし破裂した。



ぬかるみの中をさんざん走り回ってずぶ濡れになった安浦と、怪我が自然に回復してきた私は、呉林のところまでやって来た。


「ご主人様?  その体の傷はどうしたんですか。心配です」


疲れを隠して安浦が心配してくれている。


「ああ。ちょっとな。でも痛みとかは全然無いんだ。回復しているし……それより安浦は大丈夫か?俺が抱えようか?」


「あたしは平気です。……もうご主人様が戦うのは嫌!  こんな世界は嫌い!」

ウロボロスの世界樹

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