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私は少しの間沈黙したあと、気まずく打ち明ける。
「……昭人が好きな体位だったの」
「ああ……」
その一言だけで、尊さんはすべて悟ったようだった。
「……顔が見えないから不安で、ちょっと恐いの。……昭人、私のお尻や背中をやたらと叩いて、『犬みたいだな』って言って……。それが苦痛だった」
「すまん」
尊さんはギュッと私を抱き締めてきた。
「ううん。尊さんがしてるのは、まったく違う事だって分かってるんです。尊さんは悪くない。……ただ、私が思いだしてしまっただけ」
「乱暴に扱われて、平気な訳がないだろ。朱里のそれは立派なトラウマだ」
私は尊さんを抱き締め返し、目を閉じる。
「『背中が汚い』って言われたの。……あとで合わせ鏡をしてみたら、ちょっとプチッとしたところがあって、それから皮膚科行ったり、一心不乱に背中洗ったり、スクラブしたり」
「朱里はどこを見ても綺麗だよ」
「うん……」
私は彼の優しさに触れ、泣きたくなるような喜びを得て頷く。
「もうバックはやめとくか」
尊さんに言われ、私は小さく首を横に振る。
「大好きな人との行為なのに、できない事があるのは嫌。ちょっとずつ慣らしていきたい」
「そっか、朱里がそう言うなら、初級からやっていくか」
「ふふっ」
「じゃあ……、後ろからギューしてみるか」
「後ろから牛ですね」
頷いた私は、コロンと寝返りを打って尊さんに背中を向ける。
「……おい、今違うものを想像したな?」
「気のせいですよ」
私たちはクスクス笑い、お互いのぬくもりを感じ合う。
お尻の辺りに硬くなったモノがあり、とても申し訳なくなった。
「……ごめんなさい。せっかくお天狗様が起立したのに……」
「天狗はいつでも立てるからいいんだよ。それより、朱里の心のケアを先にするほうが大事だ」
尊さんははね除けた布団を被り、私の脚に自分のそれを絡ませる。
私は体に回った尊さんの腕をギュッと握り、呟く。
「まだ囚われてるなんて、バカみたい」
「それだけ深い傷だったんだよ。何もバカじゃない」
「途中でできなくなって、ごめんなさい」
「一回達ったし、朱里に悪戯されたし、もう十分だよ。気にすんな」
尊さんは耳元で言って、首筋にキスをする。
静かに涙を流していると、彼が尋ねてきた。
「朱里はエッチの時、どうされるのが好きだ?」
「え? えー……、うーん……。……全身をサワサワッて撫でられるのとか。手が優しくて気持ちいいけど、ゾクゾクします」
「うん、じゃあ、他は?」
「頭を撫でられたり、首筋とかにキスされたり」
「胸は?」
「…………乳首、優しくされるの好き」
「下は?」
「…………尊さんの、指も舌も好き。乱暴にしないし、凄く気持ち良くしてくれる」
「ジョイスティックは?」
「ふひひっ。……大好きですよ」
「田村に嫌な事をされて、棒そのものに憎しみを持ってないか?」
「そこまではないです。嫌なのは昭人や、彼にされた事であって、尊さんも他の男性も違うって思えています」
「そっか、なら良かった」
彼は心底ホッとしたように言い、私の肩にキスをした。
「ついノッちまったけど、尻叩いて悪かったな」
「ううん。尊さんはいいんです。同じ事をしても、昭人とは込める感情が違うから。……上手く言えないけど、尊さんが悪く思う必要はないんです」
「道具は?」
「嫌じゃなかったです」
「ん」
尊さんは安心したように頷いて言った。
「大丈夫だよ。俺と朱里はこれからずーっと一緒だ。その間にできなかった事もきっとできていくようになる」
「……うん」