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ただ女の人とご飯を食べていただけなのにそんな些細な事がどうして許せなかった。
「そんなことなら女の人と付き合ったらどうですか」
言ってしまった。思ってもない事を。
これには流石の黒尾さんもイラッときたようで
「わかった」と一言置いて荷物を纏め出ていってしまった。
驚きの余り涙も出なかった。
いつもなら「ツッキーごめんな?」と眉を掻きながら謝ってくれるのに。
あの時僕がごめんなさいの6文字が言えていたら、ドアを握り締める手を掴む事が出来ていたら
今頃黒尾さんの隣に居られたのかも知れないのに。
黒尾さんの居なくなったリビングは僕には何故かとても暗く広く感じた。
久しぶりに山口と飲んだ帰り道。
ラブホ街を歩く僕の眼には見覚えのある人影が映った
「黒尾さん」思わず呼んだ名前に反応したその人と目が合った
「てつろー?」「知り合い?」
横に居た女が黒尾さんに聞いた。
僕は期待してしまった。彼が頷いてくれると、もう一度笑顔で名前を呼んでくれると。
「いや?」「知らない人」