第10話:お前の気持ち、聞かせろよ
放課後。
「結局、どこ行くんだ?」
教室を出ると、佐倉は胡々の隣を歩きながらポケットに手を突っ込んで尋ねた。
「えっ、急に言われても……。」
「じゃあ、適当にコンビニでも寄るか。」
「コンビニ……?」
デートっぽい場所でもなく、ただの寄り道。
でも、それが佐倉らしいなと思うと、胡々はふっと笑ってしまった。
「ん? なんだよ。」
「ううん、なんでもない。」
「変なやつ。」
そう言いながら、佐倉は歩くペースを少し落とす。
胡々が隣で無理せずついて来られるように――。
(こういうところ、ずるいよね。)
そんなことを思っているうちに、コンビニに到着した。
* * *
「お、これ新作じゃん。」
佐倉は飲み物コーナーで新発売のジュースを見つけ、すぐに手に取った。
「胡々もなんか買えよ。」
「え、でも……。」
「おごってやる。」
「えっ!? いいよ、そんなの!」
「いいから。ほら、早く決めろよ。」
「え、えっと……じゃあ、これ……。」
胡々は戸惑いながらも、いちごミルクを選んだ。
会計を済ませ、コンビニの前のベンチに座る。
「はい、これ。」
佐倉が買ったジュースを胡々に差し出した。
「え?」
「お前のやつと交換。」
「え、でも佐倉くん、それ飲みたくて買ったんじゃ……。」
「いいから。」
胡々は戸惑いながらも、差し出されたジュースを受け取る。
(また……間接キス……。)
「……佐倉くんは、気にしないんだね。」
「ん?」
「その……間接キスとか。」
胡々が小声でつぶやくと、佐倉は一瞬動きを止めた。
そして――
「……意識してんの?」
「えっ……。」
急に佐倉の視線が近づく。
「胡々は、俺のこと……どう思ってんの?」
「そ、それは……!」
「俺は、お前と一緒にいるの、嫌じゃない。むしろ……結構、楽しい。」
「……!」
「だから、お前の気持ちも、そろそろ聞かせろよ。」
胡々の心臓が、ドクンと大きく跳ねた。
(これって……もしかして……。)
風がそっと二人の距離を縮める。
胡々は、もう誤魔化せないと悟った。