樹は英語も話せるし、それもすごく安心できる。
アメリカ行きが決まってから、私も樹に英語を少しずつ習っていた。結構、性に合ってるみたいで、あっという間に日常会話くらいなら話せるようになった。きっと、樹の教え方が上手いおかげだと感謝してる。
真奈からも嬉しい報告があった。
良介君からプロポーズされたって。
真奈、いろいろ言いながらも、めちゃくちゃ嬉しそうだった。結婚式はハワイで挙げるみたいだから、私も出席するつもりでいる。
もちろん、樹と2人で――
真奈、幸せになってね。
私も、絶対幸せになるから。
私達は、長旅を終え、とうとう新天地に到着した。
「いよいよだな。俺達の新しい生活が始まる」
「うん、そうだね」
まず、樹が借りてくれたマンションに向かい、中に入ると、日本で住んでたマンションよりもさらに広かった。
さすがアメリカだ。
日本とはスケールが違う。
高層階から見下ろす景色も、都会からほんの少し離れてるせいか、自然が多くて癒される。
日本では感じられない新しい感覚にワクワクしている。海外は初めてだけど、ストレスなく過ごせそうな気がしてる。
荷物を片付ける前に、私達は新しいレストランに行ってみることにした。
歩いて5分の好立地。
この辺りは、人通りもあって目につきやすい。
レストランは、オシャレなカフェのような外観で、とても素敵だ。テラス席もあって、ちょっと入ってみたくなるような雰囲気がある。
こんな素晴らしい環境の中で、樹と一緒に働けるなんて本当に嬉しい。
オープンは2週間後――
新しいメニューも、仕入先やバイトの男の子も全て樹が決めている。私は、ただサポートするだけ。
どこまでできるか分からないけど、とにかく樹の役に立ちたい。
今まで私が支えてもらったように、今度は、私が樹に恩返ししたいと心から思ってる。
1週間が過ぎ、マンションでの生活、レストランでの作業、樹は毎日とても慌ただしくしてる。
それでも、疲れた様子を見せず、私には優しく、英会話も丁寧に教えてくれた。
私も家事を一生懸命やりながら、仕事についてもいろいろ覚えた。
開店まで後1週間。
私達は、地元のバイトの男の子2人をマンションに呼んで、オープンに向けての最終ミーティングを行った。
まだ若い彼らは、やる気に溢れていた。
1人は料理経験ありで樹をサポート、1人は私と一緒に接客を担当する。
今日は、樹が考えたメニューを作って、それを試食しながら、さらにアイデアを出し合った。ほとんどが手直しするまでもなく、完璧なように思えた。
美味し過ぎる――
樹の才能に、改めて感服した。
接客の仕方も確認し合い、最後まで楽しい雰囲気の中で打ち合わせが進み、あっという間にファミリーのような関係になれた気がした。
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