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下校時間になるまで、胸の動悸を隠しながら羽良野先生を観察していたけど、いつもと同じで何も変わったところがない。亜由美の見間違いなのかな?

そうだとすると、羽良野先生と同じ体格の女性が花壇に落ちてきたということだ。

やっぱり、外からの侵入者なのだろう。

そうでなくては、辻褄が合わない気がする。


その日は、学校が早めに終わって僕は篠原君と藤堂君に待ってもらって、花壇を調べたが足跡はなかった。


犯人に何かで繋がっているのは用務員さんだろう。

僕は決心した。

その後、亜由美も連れて藤堂君と篠原君と一緒に帰った。熊笹商店街で主婦などの通行人が多い時間帯だった。

大きな入道雲は僕たちに巨大な影を与えている。

つい、後ろを振り返って学校の場所を見てしまう。胸の動悸は未だに激しい。大きな混乱は、僕全体を揺さぶった。

真夏の容赦のない熱線の投射で、スクールゾーンと書かれた道路から湯気が立っていた。

僕たちは汗を掻いていた。


「ねえ、どうしてだと思う?」


篠原君が強がって僕に聞いてきた。


「何?」


「真夏の雨は凄いけれど、なんでか僕たちは親の送り迎えがあったり、なかったり」


篠原君はタイガースの帽子を被り直して、顔は強張っている。


「うーん。雨じゃなきゃいけない?」


「確かにいけなくない」


篠原君はタイガースの帽子を目深に被って、不安な気持ちを抑えているようだ。


「じゃあ、何かあるかも知れないものを上げてみよう」


藤堂君は震えた声を出した。


「まず、裏の畑でカカシの手足がまたでて、外の砂利道に溢れてきた……」


そこまで藤堂君がいうと、篠原君は震えだして、


「やめてよ!!」


訳も分からずに叫び声を発した。

僕は本当はそれどこじゃないけど、優しい嘘をついてあげた。


「雨が降ると、御三増町の全部の川が溢れるからだよ。学校の先生が陰で言っていたんだから、本当だよ」


藤堂君が俯き加減で聞いてきた。


「本当?」


「ああ、でも学校の先生には秘密。だって、陰で言っていたから」


篠原君は強がって、大きく頷いた。

学校の先生は拙い。

僕が目立つといいことはないはずだ。

強い日差しとぬるい風を受けて、汗を掻いて歩いていると、黄色の天幕が張られた熊笹商店街には主婦たちが買い物で賑わいを見せていた。

主に食品を取り扱っている店が建ち並び。よく幼稚園の時に母さんと歩いた。

白いスープと死者の街

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