コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「少なくとも今は安全でしょう。来るべき時までは。」
「さぁ、なんか暗い雰囲気になっちゃったから明るくいきましょう。仲良くなるためにまずは自己紹介ね。アタシの名前は黄之丈泰揮(きのたけ たいき)です。泰揮クンて呼んでね。」
私の手を握りブンブンと振り回す。何といえばよいのか…個性的ね…この人。
「聖…緑川聖(みどりかわひじり)だ。」
寡黙…いや、謙虚な人なのだろう。
「かわいい僕が桃瀬奏(ももせかなで)。僕以上に可愛いものなんてこの世にはないから。」
本当にいるんだ、こういう人。自己愛が強いのね…
「そして、私が藤林悠夜。この屋敷の最年長です。何か困ったことがあったらいつでも私に言ってください。」
この方が1番まともそうに見えてくる。
「で、俺が赤羽劉磨。とりあえず、こいつ連れてきたから俺は部屋に戻る。」
「待ちなさい、劉磨。」
「もう俺の役目は終わっただろ?疲れたから寝る。」
「まったく…協調性というものがありませんね。まあ2年前のことがあったから無理もありませんが…。」
「2年前…?」
「お気になさらず…それでは貴女の部屋をご案内します。歩けますか…?」
「はい…。」
さあ、といって2階へ案内される。長い螺旋階段を上ると扉がたくさんある通路に出た。
「こっちだよ、こっち。」
桃瀬さんに引っ張られながら部屋に入る。
「うわ!すごく広い。」
「でしょ?とりあえず、クローゼットに何着か服は入っているから好きなように着てね。あと、隣は劉磨と聖、反対側が悠夜と僕だから何か困ったことがあったら気にせず言ってね。」
「は、はい…?」
「飯は7:00,12:00,18:00にさっきの大広間だから遅れるなよ…。夜はめったに食わないけど…。お風呂場は大広間の奥…。」
「ちょっと聖、もう少し愛想よく言えないの?」
「だって、女ってよくわからない…。」
「聖は紳士なんだか奥手なんだか…じゃあ、僕たちはそろそろ行くから。夕食まであと1時間くらいしないけどゆっくりしてね。」
「あ、ありがとうございます…。」
そういって彼らは部屋を出て行った。
ゆっくりして、と言われても何をしよう。普段なら、勉強にレッスン、やることが山積みで休む暇などなかった。それに、まだこの屋敷が安心できる場所だとは思えない。
そんなことを考えながら部屋を見渡す。
「それにしても、広い…。」
広すぎて落ち着かない。屋敷での私の部屋もこのくらい広かったけれど、爺やメイド、たくさんの人がいたから広さなどあまり感じなかった。
大きなダブルベッド、人がたくさん入れそうなクローゼット。テレビや机などもあり生活に困らないよう家具が充実している。
私は…もう戻ることができる場所はない
こんなに家を恋しいと思ったこと、あっただろうか……
お父様、お母様、爺やに会いたい。そんなことを考えながらベッドに腰掛ける。
「あの人たちを信じた先には何があるんだろう…」
いろいろなことを考えているうちに瞼が重くなっていく。
――――幼いころ家族で過ごした日々を夢で見た――――