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第二十一章
生き抜く覚悟
買い物を終えた私たちは、合流場所へと向かいました。
「おっ?お疲れさん。どや? ええのあったか?」
にこっと笑い、手を振りながら椥辻さんが声をかけてきました。
「お疲れさま。現地調達できるもの以外は、揃えたつもり。あ、皇刃くん。いいクロスボウ、見つかったの?」
大事そうにクロスボウを抱える皇刃くんは、とても嬉しそうに笑いました。
「う、ん……椥辻さ、んのおかげで……いいの見つけられたよ。ありがとう」
「あら。あんたも、たまには!役に立つことあるのね? た・ま・に!だけど」
「なんや?七凰……体力有り余ってんのか?」
あーあーあ……また始まりました……。
止めるのも疲れます。
「ふ、二人とも……落ち着いて……は、早く帰って準備しないと……ね?」
皇刃くんの言う通りです。
帰ってやることは、たくさんありますから。
皇刃くんに止められ、大事にならずに済んだ私たちは、やっと學園へ戻ってきました。
そのまま解散しようとした――その時。
「早乙女さん。少しいいですか?」
声をかけてきたのは、職員室の職員でした。
「職員室まで来てください」
「……私だけですか?」
「はい」
何でしょう……。
提出した討伐スケジュールに、不備でもあったのかしら……。
……と言うか、スケジュールなんですから、その通りに進むはずありません。
少し緊張しながら、私は職員室の扉を開けました。
「失礼します」
中には、担当の職員が待っていました。
「早乙女さん。明日からの長期討伐について、渡しておくものがあります」
そう言って差し出されたのは、小さな金属製のタグでした。
「……これは?」
「ドッグタグです」
「討伐中、万が一のことがあった場合に、身元を確認するためのものです」
その言葉に、私はドッグタグから視線を職員へ向けます。
「……万が一?」
職員は少しだけ沈黙し、真剣な表情で私を見つめてきました。
「……仮に、ぐちゃぐちゃになって個人判別ができない時の、唯一の判別方法となりますから……必ず班員に渡してください。身に付けておくように……と。いいですね?」
ぐちゃぐちゃ……。
その言葉に、嫌な汗が背中を伝います。
あの店主のようになれば、私も討伐される……。
今回の長期討伐は、それほど危険……なのでしょうか。
「それから、これもお願いします」
「……?」
「遺書です。明日の出発前までに書いて、全員分提出してください」
「……分かりました」
それだけ答え、私は職員室を出ました。
手には、人数分のドッグタグと、遺書を書くための紙……。
今までと違う危険。
人間を操るクラゲ。
人間に寄生する毒素。
これらは確かに、今まで報告にありませんでした。
広がる砂漠化。
生きるために進化をしているのは、人間だけではない……のかもしれません。
私は小さく深呼吸をします。
班長の私が、不安を表に出してはいけません。
「みんなに配って、準備してもらわないと」
覚悟を決めます。
生き抜く覚悟を。
コメント
1件
輪廻さん、第21話読みました……。 ドッグタグと遺書が出てきた場面、本当に心臓がぎゅってなったよ。今までと違う“ぐちゃぐちゃ”って表現が、すごく生々しくて怖かった。班長として覚悟を決める早乙女さんの強さ、ちゃんと伝わってきた。胸が苦しいけど、応援したくなる話だった🥀💔