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「ねえ。オマエのその目っていいよね」
男は、腫れあがった俺の頬に手を触れながら顔を寄せた。
「俺に、ちょーだい」
今でもあの時のことは何度も夢に見る。
男の顔が迫ってきて、
その妙に色の悪い唇の間から舌が……
真っ赤な舌が出てきて、
それが目の前に迫ってきて、
逃げたくても、体中痛くて動けないし、
抵抗したくても、以下同文だし、
あ、俺、食われる。
そう思ったら舌が眼球に触れて、
その後、めっちゃ眼球だけ舐められて、
体中の痛みと、
両手で押さえつけられた顔と、
舐められ続ける眼球。
恐怖しかないはずの空間の中で、
………俺は勃った。
ーーーーーーーーーーーーー
………く。
……く。
……りく。
「凌空」
凌空は目を開けた。
「うなされてたけど平気か?」
目の前には3年前に大学を卒業と同時に家を出て行った兄がいた。
「あ?ああ……」
凌空は起き上がってまだ寝ぐせのある兄の顔を見た。
「兄貴、来てたんだ?」
「うん、ちょうどここら辺で飲み会があって」
兄は眠そうに目を擦りながら、スウェットを脱いだ。
太ってはいない。
引き締まった体はやせ型の部類に入るのだろう。
それでも、
あの人よりはずっと肉がある。
凌空はその盛り上がる肩甲骨を見ながら、額にかいた汗を手で拭った。