テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
雪村 麻耶🦇🩷 。🦅🖤
279
75
#SixTONES
仕事の休憩中。
奈海と慎太郎が、少し離れたところで話していた。
「そういえばさ、奈海」
「ん?」
「高校のとき、俺が貸したDVDまだ持ってる?」
「え、持ってるよ(笑)」
「マジ? もう捨てたかと思った」
「なんで捨てるの(笑)」
二人が笑っている。
その様子を、樹は少し離れたところから見ていた。
「……」
「樹?」
北斗が声をかける。
「ん?」
「さっきから何見てんの?」
「別に」
樹はすぐに視線を逸らした。
「……なんでもない」
でも。
また奈海のほうを見てしまう。
慎太郎と笑っている奈海。
昔から何度も見てきた光景。
それなのに。
今日は、なぜか気になった。
「……なんだよ、これ」
樹は小さく呟いた。
***
仕事が終わったあと。
奈海が一人で資料を運んでいた。
「奈海、それ持つよ」
樹が声をかける。
「え? 大丈夫だよ」
「いいから」
「ありがとう」
二人で資料を運ぶ。
「今日、疲れたね」
奈海が言う。
「そうだな」
「でも、みんなと仕事してると楽しい」
「……そっか」
奈海が笑う。
「樹も楽しそうじゃん」
「俺?」
「うん。昔から、みんなといるとき一番楽しそう」
「……そうかな」
「そうだよ(笑)」
樹も笑った。
「まあ、7人でいるの好きだからな」
「私も」
その言葉を聞いた瞬間。
樹の胸が、また少しだけ苦しくなった。
――7人。
奈海にとって、自分はその中の一人。
もちろん、それでいいと思っていた。
幼馴染で。
友達で。
ずっと一緒にいる仲間。
でも。
最近は、それだけじゃ足りない気がする。
***
帰り道。
樹は一人で歩いていた。
「……俺、奈海のこと」
足を止める。
「幼馴染として好きなだけじゃないのかもな」
今までなら、そんなこと考えもしなかった。
奈海が笑えば嬉しい。
奈海が困っていたら助けたい。
奈海が誰かと楽しそうにしていたら、少し気になる。
そして。
奈海が自分以外の誰かを特別に思うことを想像すると――
胸が、ざわつく。
「……そっか」
樹は小さく笑った。
「俺、奈海のこと好きなんだ」
初めて、自分の気持ちを認めた。
でも。
その気持ちを、今すぐ伝えるつもりはなかった。
なぜなら。
今の7人の関係を、壊したくなかったから。
「……まあ、いいか」
樹は空を見上げた。
「まだ、言わなくても」
そう呟きながら歩き出す。
――幼馴染だから好きなんじゃない。
**奈海だから、好きなんだ。**
コメント
1件
ああーー!!😭💕もう、樹くんの気づきが来たね!!「幼なじみとして好きなだけじゃない」「奈海だから好きなんだ」の流れ、最高にエモい…!✨慎太郎と笑う奈海を見て胸がざわつく樹、完全に恋する男の顔じゃん…!7人の関係を壊したくないからまだ言わない、っていう切なさもまた良い…このジレンマ、読んでてキュンが止まらんよ!!😭💘次回が待ち遠しすぎる…ゆきのさん、尊い話をありがとうございます!