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カッカッカッカッと、革と鉄がぶつかり合う音を石でできた空間に響かせながらアイビーの元へ向かう。
この階段を一番上まで上がるとアイビーがいる部屋がある。
それはまぁ、見た目は綺麗な木造だが、言い方を変えればただの牢だ。
それにこの階段は無駄に高いので、アイビーに会おうとするだけで息切れがすごい。
なので前までは様子見に来ていた子達もすっかり来なくなってしまった。
「アイビー!来たよ!」
僕が満面の笑みで言うと、彼女はふわりと、染具が布地に染まるように笑って、
「やぁ、スカビオサ。今日も来てくれたのかい」
「うん!今日は、アイビーの好きな甘納豆を持ってきたんだ!気前のいい商売人が久しぶりに来て、分けてけれたんだ!アイビー甘納豆好きだよね?」
「ああ、とても好きだよ。ありがとう」
そう言って甘納豆をアイビーに差し出すと、彼女は悲しむ様に消えてしまいそうなくらい儚く微笑んだ。
僕、何か気に触ることしちゃっただろうか。
「あ、アイビー……どうしてそんなに悲しそうな顔をするの?僕、何かアイビーが嫌がるようなことしてしまったかな?」
「……いや、外にいた事が少し懐かしくて……また戻りたいなと思ってしまっただけさ。気にしないでくれ」
そういう事か。
僕もアイビーがここに入れられて辛い、なら気持ちは一致している。
……それなら、僕が毎夜毎夜考えていた案も受け入れてくれるのではないか。
「ねえ、アイビー……もし良ければなんだけど……一緒にここから逃げ出さないかい?」