「……何を言っているの?スカビオサ」
「だ、だって、アイビーが贄に出されれば僕達もう話すことも出来なければ笑うことも出来ないんだよ?僕はそんなの嫌だ……それに、アイビーは贄を出しても変わらないってことくらい知ってるだろ?村のヤツらとは違うんだから」
「なら、スカビオサも神信教がどれだけ恐ろしくて大きいのか知ってるだろ?村のヤツらとは違うんだから」
「うっ……」
図星だ。
神信教は救済なんか差し伸べない、自分たちの思うがままに村を支配したいだけだ。
人殺しなんかして何が楽しいんだ。
「この世には救済なんかないんだ……救いの手なんて誰も差しのべてくれない……嫌になってくるよ……」
「まぁ、救済なんて人によって違うしね。それに僕は今で充分幸せだよ?」
「どうして?僕はまだまだアイビーとやりたいことが沢山あるのに」
「だって、歳をとると老けるでしょ?私はそんな年老いた美しくない姿をスカビオサに見られたくないんだ。それに、歳を取ればどちらが先に行くかなんて分からないし、私はスカビオサに先に行かれたら号泣するだろうからね」
はははっと、自嘲気味に彼女は乾いた笑いをもらす。
ああ、この少女はなんて脆くて儚いんだろう、少し触れれば壊れて消えてしまいそうだ。
守ってあげたい、そばに居たい、そう思わせてくる。
もしこれが彼女の罠だとして、彼女が何か悪いことを企んでいたら、もうこれは完全に僕の負けと言っていいだろう。
このままでは彼女に心臓をグチャグチャにされてしまいそうだ。
「それでも、僕は一緒に生きたいんだ。それに先に行かれて号泣するのは僕だって同じだ」
「……そう、一緒に生きたい、というのは叶えられないけど」
「……?」
彼女は瞳から光をなくし、絶望したような表情を見せる。
さっきとは違い、触れればこちらが壊れそうだ。
「一緒に死ぬなら叶えられるよ」
コメント
7件
なんか、わかんないけど儚いよね??(いやまじ語彙力皆無)