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「あ、この炊き込みご飯美味しい……」
「だね」と目の前に座る課長は目を細め、「……頑張って作った甲斐があったね」
「お米がふっくらしてて、きのこや鶏肉の風味が豊かで……ふわっとお醤油が香って、お揚げのアクセントがたまらないです……」
初めての水族館デートの余韻に浸りながらスーパーに寄ってから帰宅し、炊き込みご飯とお味噌汁とお漬物を作った。――課長のこのマンションにはもう何度も泊まってるから、この近辺にもそこそこ詳しくなった。美味しいオムライスを食べられる店、安くて質のいい商品を売るスーパー、ランキング形式の棚を置く本屋……葛西臨海公園には実は行ったことがなかったのだが、あんなにも広くて、水族館もある豊かな公園だなんて知らなかった。課長と結ばれていなかったら、知らなかったことばかりだ。
「莉子ちゃん食レポ上手だよね」と課長は味噌汁をすすり、「あ、この茄子の味噌汁も美味しいねえ」
冷凍の揚げ茄子を入れたものだ。あれは、便利で、せっかくなのでと、買った。「ええ」と微笑み、
「この、二重生活にも慣れてきましたね……特に課長と過ごす週末がわたし、幸せでたまりません」
「おれも……」箸を置いた課長は、「莉子のマンションで過ごすのも幸せなんだよな。部屋って、やっぱ、特別じゃん? そのひとの大事にしているものや、思想が染みついている感じで、さ……。莉子に包まれているみたいで、癒される……」
「狭いワンルームですけどね。でも、バストイレが別なのは気に入ってます」
「こないだなんか、すっごいえっちな声出しちゃったもんねー」明らかにわたしをからかう体の課長は、「同じマンションの連中、みんなむらむらしてるよ」
「課長ったら」とわたしは漬物に箸を伸ばし、「……お風呂で最高に気持ちよくするのとか、やめてくれません? ――声、出ちゃうじゃないですか……」
つい今朝がた、信じられないくらいに狂う寸前だったことを思い返す。――どうしよう。課長、引いてない、かな……。
「あの。せっかくなので、質問いいですか」
麦茶のグラスに口をつけた課長が、「なんなりとどうぞ」
「わたし、……されてばっかりなんですけど、いいんですか? それと、あんなに……なるなんて、ふ、普通、なんでしょうか……わたし異常だったりしません?」
すると課長はまっすぐにわたしを見据え、
「――それ、ずっと気にしてたわけ?」
迷いながらもわたしは認めた。「……はい」
「ひとりで悩んじゃう……莉子らしいっちゃ、莉子らしいな……うん。おいで。こっち……」
お食事中ではあるが、椅子を引いて待ってくれる課長の膝のうえにちょこんと乗った。背後から課長はわたしの胸のほうへと手を回すと、
「捕まえた」
課長はわたしの長い髪を横に流し、首の後ろに口づける。「駄目だよ……ひとりで抱え込んじゃ。思ったことはなんだって言ってくれていいんだ……」
「課長がしてくれるのと同じようにわたし、愛さなきゃって……でもいざ、そうなるとわたし、もう、されるのが精いっぱいで……あんなに淫らになったのなんて初めてで……もう、びっくりで……」
「気づいてやれなくてごめんね」と課長は、「愛するひとに反応する……それって女の子ならではの素敵な現象だと思うんだ。――莉子。こっち向いて座ってくれる?」
「……はい」わたしは一旦立ち上がり、足を広げ、課長と向き合い、課長の上に座る。座ってみて気づいた。これって対面座位みたい……!
赤くなるわたしに気づくと、課長はやわらかく笑った。「やっぱ、莉子の顔見るの好きだわおれ。莉子っておれの前だと表情くるくる変わるから、見ていて、飽きない……」
大きな手を、わたしのこめかみから後頭部に滑らせた課長は、
「おれね。莉子の、そういうところも、大好き」
断言する。
「ひとりで思い詰めちゃうところとか、繊細で、いろんなことに悩んでいるところとか。現実を直視する、冷静な部分を持ち合わせてるところ……それから、感じやすくってすぐに、……濡れちゃうところ。
きみは、きみなんだよ。莉子。
きみがいろんなことを感じるのは、きみの感受性が豊かなんだからなんだよ。
自分の内側から流れる素直な感情に、向き合って欲しい。
それからきみの疑問に答えると、おれはね。きみの……感じちゃう顔が大好き。
あのときにしか聞けない、やーらしい声も。
きみの存在が、行動が、おれの宝物だ。なんてことのないおれの人生を、星のように、きらびやかに彩ってくれる。
だからね、莉子。
思ったままでいいんだよ。きみが感じるまま……。
思い出させちゃって悪いけど、きみは、辛いトラウマを抱えている。だからね、おれはそんなきみを愛す以上、ある程度は慎重になるべきだと思う。……て」
課長は舌を出し、
「つい本日、新しい世界へときみを誘ったおれが言うことじゃないかもしれないけれど……」
「課長、不満とか……ありません? なんだって言ってくれたっていいんですよ……」星空のように美しく輝く課長の双眸に魅せられながら、このひとの薄い頬に手を添える。「……奉仕とか、もうちょっとして欲しいときは言ってください……。わたし、数えるほどしかしていませんから、酷い女なのかなと……思って」
「確かにフェラは魅力的なんだけど。でも、きみのなかに入る感覚には敵わないなあ……。知ってる? 莉子。おれはきみのなかに入ると、満天の空を見るんだよ。星がきらめいていて、美しい……」
「星が流れる感覚、わたしも、初めて……経験しました」
きっとわたしたちは同じ景色を見ている。同じ、高みにのぼりつめているときに。
わたしは、胸のなかに課長を抱き締めた。課長の大好きなふくらみを押しつけるように。
「……莉子。ちょっと苦しい……」
「あっごめんなさい」ぱっ、とわたしは課長を解放するのだが、顔を赤くした課長は、「でも、幸せな苦しみだった。……ねえ莉子。このまま莉子のなかに入りたい……。取ってきてくれない? ベッドサイドテーブルのなかにあるから……」
「あ、はい。分かりました……」
課長と交際するようになってから、あれは常備品となり、たくさん買いに行った。ドラッグストアで課長が、「おれたち性欲無尽蔵だよな」と大きな声で言い切ったのも、いい思い出だ。
「持ってきました」
とわたしは言うと、課長のTシャツをまくりあげ、固い胸にキスをする。それから、ぴんと張ったそこにも……。
舐めれば、どんどん固くなって。課長が、いつも執拗にわたしのおっぱいを舐める理由がよく分かった。
「ああ……すごく、感じる……感じるよ莉子……」
「本当ですか」ぎこちない愛撫を与えるわたしの背に手を回し、ぱちん、と拘束を外すと、清潔な手のひらでわたしのたわわな乳房に触れる。「ああ……もう、こんなやわらかくなって……こっちはどうかな」
「――ん、あぁっ……」
「びんびんだ」
「課、長その……いまは。いまは、わたしが奉仕する番なんですから、好きにさせてください……」
「舐めたい」
欲情を全面にたたえた瞳で課長は、
「莉子の、おっぱいが、舐めたい」
「いいですけど……苦しそうな課長のここ、解放してからでいいですか」
「うん。お願い……」
課長のベルトに手をかける。かちゃかちゃと金属音が鳴り、こちらの気持ちを焦らせる。「ゆっくりでいいから」と課長。「自慢じゃないけど、おれ、持続力すごいから……特技なんだけど、ある程度持ちこたえることが出来るんだ」
腰を浮かせる課長に従い、トランクスごとパンツを下げて、課長のそこを、剥き出しにする。たまらずわたしは貪った。いつも――わたしを気持ちよく誘ってくれるそこを。熱く貫くそこを。
わたしは竿に手を添え、舐めて、笑った。「課長の先走り汁、美味しい……」
「な……」鼻の穴を大きくした課長は、「なんてことを言ってくれるのきみは。ああもう、……莉子。おっぱいが舐めたい……莉子のおっぱいが舐めたいよ……こっち来て」
「分かりました」服を着たまま、課長のいきり立つペニスを陰毛の辺りに押しつけながら、課長のうえに座る。課長はそっとわたしのトップスとブラジャーを押し上げ、わたしの、感じやすい蕾を貪った。
「あ……やっ……課長。課長……っ」
相変わらずこのひとは着実に丁寧にこちらのことを導いてくれる。服を着たままだというのがなおのこと、煽る。まるであの大空の下で楽しんだデートの続きを、外でしているみたい……。
今日の出来事。水族館で見た、きらきらからだを輝かせる魚。とげとげのウニ。ぴちぴち歩くぺんぎんたち……幸せな家族の肖像。それらが目の前に蘇り、なんだかわたしを懐かしい気持ちにさせる。この景色もいずれセピア色にくすんでしまうのだろうか。――いや、そんなはずがない。
くちゅり、くちゅり、とわたしを愛しこむ課長の小さな頭に手を添える。――また、わたし……。
「ああ」とわたしは脱力した。ふるえて――声が、出ない。
「いきやすい莉子」課長はわたしの背を抱き、「きみのふるえが伝わる。きみの――恍惚が伝わる。ねえ、きみがいっちゃうたび、ぼくもね――すごく、気持ちよくなれるんだ。幸せだよ」
課長はテーブルのうえに乗ったそれに手を伸ばし、慣れた手つきで開封すると――装着する。
「乗ってみて」
「え――と、でも、やり方が……」
「分からないならおれが教えてあげる。何事も――経験だよ」
そうしてわたしは、スカートをまくり、大胆に足を開くと、課長のうえにまたがり、その熱くて太いペニスを、自分のなかに、押し込んだ。
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