「誰!?」
先生がそう言った瞬間、私は、この人も同じだと分かった。
「あ、ごめんなさい。勘違いだったみたいです。」
教室に、笑いが起こった。私達6人は、笑わなかった。いや、笑えなかった。事実を、知っているから。
放課後、先生と話す。もちろん、6人で。
「先生、聞きたいことがあります。」
「何ですか?」
「どうして先生は、誰と言ったんですか?」
「それは…」
「この3人を見たから。ですよね。」
「どうして…」
「私達は、どうやら、別世界に来たようなんです。証拠は、この3人。」
「別世界…?そんな非現実的なこと…」
「あるんです。実際、今、こんな状況なのですから。」
「まぁ…そうですよね…。」
「問題は、どうやって戻るか、ですけど。」
「先生は、昨日、夜まで学校にいましたか?」
「ええ。」
「今、原因がはっきりしました。夜の学校です。」
「夜の学校?そしたらあなた達には関係ないんじゃ…」
「昨日、入ったんです……夜の学校…」
「……ダメでしょう…いいえ、怒るのは後です。夜の学校に侵入。それが必要ということですね。」
「はい。」
先生の理解が早い。
「俺達はついて行きますか?」
「いや、君達まで別世界に飛んでいく可能性があるから、止めておいたほうが良いよ。」
「そうか。分かった。」
「夜、学校前に。」
「分かった。」
先生は、学校に残り、私達は家に帰った。
夜。家を出て、学校へ。愛美と白玖は、先に着いていた。
「揃ったね。 行こう」
「うん。そうだね。」
窓の近くに先生がいた。開けられた窓から、学校 に入る。懐中電灯で、辺りを照らす。
この学校には、何かがある。どうして私達は、 違う世界に来たのだろうか。見つけたい。
「1階から順に見ていこう。 はぐれないでね。」
「分かってる。」
1階は、 特に何も無かった。
2階は、 様々な教室がある。 実験室の人体模型には驚いてしまったけど、 何も無かった。
3階は、 各学年の教室。 何も無かった。
4階は、講義室が多くある。同様に、何も無かった。
5階は、
「あれ?5階なんて、あったっけ?」
「ない…」
「鏡がある。」
「っ!?」
「なん…で?」
白玖が、写って無かった。
反射的に、振り返る。
「なんで!?白玖!」
鏡があると言ったのは、白玖だった。一瞬で消えた?なぜ…
「白玖!どこ!」
「せんせ…あ…」
先生が、笑っていた気がした。
「先生!白玖はどこですか!」
「柚衣さん。さよなら。」
「ま——-」
白玖も、柚衣も、先生も消えた。私は、独りになった。とても、心細い。絶対に、ここに、何かある。鏡以外に、絶対に、別の物があるはずだ。探せ。探せ。
見つけた…扉だ…。開けてはならない扉って感じだ。私は、意を決して、扉を開けた。
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