2つの世界で、扉を開けたのは、同時だった。
扉を開けると、廊下があった。さっきと、同じような風景。ただ1つ、隣に、もう一人の私がいること以外は。
同時に叫ぶ。
「えーー!?」
「わっ私…」
「もう一人の、私…。」
「もしかして、ここは…」
「パラレルワールド同士の、狭間…?」
考えたことが、もう一人の私から、聞こえる。息がぴったり。本当に…私なんだ。
「奥の方、見て。また鏡があるよ。」
「本当だ。怪しい…」
「何かが、ありそうだね。」
「行こう。」
鏡の前に立つ。すると、鏡が光った。私が、手を入れる。
「入れるね…これ…。」
「入ってみよう。何か、ある気がする…。」
そして、鏡の中に飛び込んだ。
「…ここは…」
「見覚えが…」
「ある…。」
来たことがある。ここに…。たくさんの鏡がある、この場所に。
あの日、公園で2人と遊んでいた私が、捨てられていた鏡に入ってしまった。その時に…
「ここで私達は、一度、会っていたんだね…。」
「そして、あの日、世界が変わったんだ…」
「入る鏡を、間違えた。」
そう。その日、3人と会ったのだ。本当の私の世界にはいるはずのないあの3人に。
でも、忘れてしまった。今日まで…ずっと。
「私達…もとの世界に戻っただけだったんだ…」
「そうだ!白玖と柚衣は!?」
「居なくなった…鏡に写った瞬間…あ!」
「ここに…いるかもしれない…。」
探さないと…
「行こう!」
「待って。柚衣が消えた時、先生が何か言っていた気がする…。」
「っ!?まさか…先生が?」
「そのとうりだよ。愛美さん。」
「先生!」
「君達は本来とは違う世界にいたからね。戻すためにやったの。でも、まさか、ここまで息がぴったりだとは思わなかった。そのせいで、こっちの世界に入れたんだね。」
…なぜ…
「普通、別世界の人間は、性格も、年齢も、全然違うはずなのに、あなた達の世界同士は、とても似ていた。今まで、見過ごしてしまっていたよ。」
「どうして…どうして、住み慣れた世界から、離れなければならないのですか!?」
「それが、ルールだから。世界を繋ぐ、この世界の。」
「ルール?あの世界が、私の世界。本来とは違う世界で、私は、生きてきた。急に違う世界に行けないです。」
「ダメ…あなた達が危ない目に会う…。」
「それでも、私達は、住み慣れた世界が良いんです。」
「ごめんなさい。ルールは、ルールだから。あなた達は罰せられてしまう…残念です。」
刹那、上から、何かが降って来た。
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