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登場人物
俺: 自分のSNSフィードを完璧に管理し、理想の空間を作ろうとしている男。独白がメイン。
俺: 自分だけの世界って、ちょっと憧れませんか? 他人の声は聞こえなくて、心地よい言葉だけが流れてくる、静かな防音室みたいな空間。
俺: 俺はそれを本気で作ろうとしていた。
俺: 毎日届くコメントを、ひたすら仕分ける。「これは合わないな」「これは今の気分じゃない」「これは少し刺激が強い」……そんなふうに、気持ちをざわつかせる声を一つひとつ消していく。
俺: すると画面はどんどん静かになり、“俺のためだけの、小さくて完璧な王国”ができあがっていった。
俺: 好きなだけ語って、好きなことだけ発信して、まるで自分がこの世界の管理者にでもなったみたいだ。誰も横から茶々を入れてこない。うん、これは最高だ。どうして皆、この心地よさに気づかないんだろう?
俺: ——でも、ある日。
俺: その王国に自分の声だけが反響していることに、ふと気づいてしまったのだ。
俺: (間)そのタイミングで、一つだけ通知が来た。
俺: (通知を読み上げるように)「いつも見てます! 今日もおもしろかったです!」
俺: 一見すると明るい言葉。でも、なぜか胸に引っかかる。俺はそのコメントを見つめて、思わずつぶやいた。
俺: ……たぶん、この人も“外の空気”なんだろうな。
俺: (スマホを操作して消去する音、あるいは静寂)
俺: そして、そっと削除する。その瞬間、また世界は完全な静寂に戻った。
俺: 俺だけの王国の中で、俺だけの声が響き続ける。