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登場人物
僕: 「正論師」という職業に就いている人物。冷静で知性的、淡々と言葉の持つ力を説く。
僕: 今の時代だからこそ生まれた新しい仕事がある。その名も——「正論師」。
僕: 何をする職業かというと、ネット上で起きる小競り合いに呼ばれ、「筋の通ったことだけを言いに行く」という、ある意味とても単純な役目だ。
僕: 君はこう思うかもしれない。本当にそんなに依頼があるの?——と。
僕: ネットは性別も年齢も価値観も、すべてが入り混じる場所。だからこそ、合わない者同士が簡単にぶつかる。鳥の前に虫を置けばつつかれるように、自然と衝突が起きるようにできているんだ。
僕: 本来なら関わらなくてよかった人たちが、偶然ひとつの画面で出会ってしまう。そして気になってしまう。他人の言葉、考え方、生き方——全部に。
僕: でも、そんな全部に目を光らせていたら、この世界はいくらあっても足りない。だからこそ、僕らの出番になる。
僕: 正論師は、国家に認められた“調整役”。
僕: 受け取った依頼に応じて、正しい筋道を示す。どれだけ鋭くても、法に触れない。なぜなら、言っていることはあくまで「正論」だから。
僕: 実際、僕も何度か“話を整理してあげた”ことがある。相手は確かに進めていなかったし、別の方向へ進みかけていた。僕はただ、正しい道を指し示しただけだ。
僕: (少し間を置いて、微かに微笑む気配で)——その結果、向こうの勢いがすっと消えてしまったけれどね。
僕: 言葉って不思議だよ。ただの文字であり、ただの音なのに、人の心を動かすことが出来る。
僕: たとえば君が日本語しか分からないなら、英語でどれだけ厳しいことを言われても平気だろう? 意味が分からないからだ。逆に言えば——意味が分かるからこそ、言葉は人を“黙らせる”ほど強くなる。
僕: なんて、不思議で、やっかいで、でも魅力的な力なんだろう。
僕: さて。そろそろ仕事だ。またひとつ、大きな議論が燃え上がってきている。
僕: 誰かが道に迷っているのなら——
僕: 正論師として、僕の出番だろう?
#読み切り