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「そういえば甲斐田くん、なんの用事で来たの?」
黛は、不破と話しているの甲斐田に話しかけた。
「あ!そうだった!いい薬草が手に入ったので黛さんに渡そうと思って来たんでした。」
甲斐田は、はっとしたような顔をして黛の方を向く。
「じゃあ、中で話聞くから。」
黛は立ち上がり、中へ歩いていく。
「それじゃあ、不破さん。また後で。」
甲斐田も黛を追うように中へ入っていく。
「おー、またなー。」
不破は、黛と甲斐田を見送る。
庭に一人残った不破。
不破は木刀を見つめる。
「…俺、刀の振り方分からんかった。」
不破は、ぽつりと呟く。
そして、黛と甲斐田を追いかけるように中へ入る。
二人を追いかけて廊下を歩いているとうなり声が聞こえた。
「ううううぅ、痛いよぉ。まゆ~?」
うなり声の主は三枝だった。
不破は三枝がいる部屋に入った。
「大丈夫っすか?三枝さん。」
不破は、横になっている三枝の隣に座る。
「あ、不破くん…。まゆどこ行ったか分からん?痛すぎて死にそう。」
三枝はげっそりした顔をしていた。
不破は、先ほどの一連の出来事を話した。
「そっかぁ。甲斐田くん来てるのか。あ、そういえば不破くん。」
三枝は諦めたかのような顔をした。
そして、何か思いだしたかのように不破を呼ぶ。
「なんすかー?」
不破は返事をする。
「まゆから聞いてる?加賀美さんのこと。」
三枝は痛みを我慢しながら起き上がる。
三枝の言葉に不破は首を横に振る。
「じゃあ、俺から説明するわ。」
三枝は、昨日黛と話した事を不破に告げる。
それは、不破は加賀美ハヤトという人物から剣術を習うことが最適だということだった。
黛は剣士ではないし、三枝も師匠はいるが彼は少し変わり者だ。
不破の性格的にも加賀美が合うかもしれないと黛は予想したのだった。
なので、今日中に黛の屋敷を出て加賀美のところへ行くことを不破に告げようと思っていた。
「俺の師匠と不破くん混ぜたらどうなるか分からないからね…。」
三枝は遠い目をしている。
不破は、今朝黛が自分に話しかけてきたのはこれを言うためだったのかと納得。
「了解っす。じゃ、早速その加賀美さんのところ行ってきますねー。場所どこすか?」
不破はそういうと立ち上がる。
「目の前の山一つ越えれば、でっかい屋敷が見えると思う。そこが加賀美さんの屋敷だけど…え、本当に行くの?」
三枝は少し困惑する。
不破は笑顔で頷き、三枝に頭を下げる。
「うん。あ、昨日助けてくれてありがと!俺、頑張るわ。」
不破は、そういうとすぐに廊下を走っていった。
残された三枝はポカンとしていた。
「…嵐みたいな人だなぁ。」
三枝は呟いた。
不破は、黛と甲斐田がいる部屋まで走った。
「黛さーん!お世話になりました!加賀美さんのこと三枝さんから聞いたんで、俺行ってきます!甲斐田じゃーな。」
そういうと、二人の返事無しに不破は廊下を走った。
「は?ちょ、不破くん?!」
黛は明らかに困惑した様子で立ち上がるが、不破の音は遠ざかる。
甲斐田が後ろで「アニキ?!」と叫んでいたが黛はそれ所じゃなかった。
少ない体力で廊下を走って外へ出たが、不破は門の外へ走っていった。
黛は諦めて、走る不破を眺めた。
「………嵐みたいな人だなぁ。」
黛は呟く。
不破は、黛の屋敷を走って出た。
そのままの勢いで山を越えた。
三枝の言う通り山を越えた先に大きな屋敷があった。
不破は、屋敷を尋ねる前に町の人達に話を聞いた。
町の人が言うには、加賀美さんという人はすごい人らしい。
町の復興のために尽力を尽くしてくれている人で、町の人達は加賀美さんを信頼していた。
町にもよく出向いて、人々の手助けをしてくれる優しい人物だ。
ある程度の情報をもらってから不破は加賀美の屋敷を訪ねた。
「すいませーん。誰かいないっすかー?」
不破は、門を叩く。
すると、門の扉が開き人が現れた。
「はーい。どちら様でしょうか?」
男性は、不破を不思議そうに見つめる。
「俺、不破湊って言います。黛さんと三枝さんから加賀美さんのこと聞いて来たんすけど、加賀美さんいますか?」
不破は、男性に加賀美の事を聞いた。
「ああ、あなたが不破さんですか。初めまして。私、加賀美ハヤトと申します。」
加賀美と名乗った男性はにこりと不破に笑いかけた。
不破は驚いたような顔をする。
「え!?あなたが加賀美さんすか?!」
不破は加賀美を指差す。