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#魔入りました入間くん
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終わった。全て、終わったのだ。刀を握る手が動かない。何も無いはずなのに、離せなかった。そこにあるのはただの空虚。そして、父の亡骸。まだ形を保っているが、能力のせいか、崩壊が始まっている。
「…どうして、」
「…ルー、大きくなったなぁ」
聞きたくない。違う。俺はただ仕事をこなした。それだけだ。
「すまないなぁ…手を汚させた…」
「やめろ…」
「…ありがとう。」
「っ!?」
体が勝手に動いた。いつの間にか、崩壊しかけているその体 を抱きしめていた。
「違う……」
それ以上、言葉にならなかった。
「大丈夫だよ、ルー」
その声が、やけに近い。
「お前は、間違っていない」
「……っ」
——違う。
「……また」
かすれた声が、漏れる。
「……間違えた」
——その瞬間。
音が、した。
何かが、完全に途切れる音。 昔、まだ能力を知らなかった頃。 同じ音を、聞いた。
「……あ」
腕の中が、軽くなる。指の隙間から、全て、崩れ落ちていく。
「あ、ああ……!」
声が空気を裂く。号哭が響き渡っていた。
ーそれきり、何も、出てこなかった。どれくらいそうしていたのか、わからない。膝をついたまま、ただ動けなかった。手はまだ何かをつかもうとしている。そこにはもう、何も、無いのに。
「…ルーシー」
声が落ちてくる。ゆっくりその声の先へ顔を向ける。カルエゴ先輩が、そこにいた。
「…終わったか」
「…はい」
口が、勝手に動く。
「対象を、排除しました。」
「…………そうか」
それ以上、口が動かなかった。重く長い沈黙が続く。
「…行くぞ。生徒が待っている。」
立ち上がろうとする。
「…?」
が、足に力が入らない。立てない。
やっと、理解できた。わたしは、終われていない。