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海殊
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”共犯”
最初から、これは許されないものだった。
誰かに見つかれば壊されるし、止められるし、
名前を与えれば汚れてしまうような関係だった。
だから二人は、名前を呼ばなかった。
ただ、そこに“いる”ことだけ確かめあって。
夜はいつも、やけに静かだった。
静かすぎて、
自分の呼吸の音が他人のものみたいに聞こえる。
sypはバルコニーに立って、
煙草を吸いながら外を見ていた。
見ているというより、
「帰る場所を数えている」ような背中だった。
syp「…なぁ」
振り返らずにsypは続ける。
syp「もし、ここが終わるとしたら」
俺は少し間を置いてから答える。
ci「…もう終わってる、やろ(笑」
それは冗談ではなかったし、絶望でもなかった。
ただ事実として、そこに落ちていた言葉だった。
いとも当たり前で、ただただ其処に”あった”から
sypは笑った。小さく、壊れた、歪んだ音で。
そして煙草の先っちょを灰皿に押し付けながら
syp「じゃあ、どこまで行っても同じやな」
_そう呟きこっちに向き直った。
その夜、
俺達は初めて“未来”という言葉を避けなかった。
代わりに、“終わり方”の話をした。
逃げる場所はない。
戻る場所もない。
日の光もなければ、優しさもない。
残っているのは、互いの輪郭だけだった。
依存と言えるほど、
互いに互いしか見えなかったのだ。
それでも不思議と、怖くはなかった。
むしろ、その事実だけが、
やっと二人を同じ場所に立たせていた。
sypが指を伸ばす。
触れた瞬間、世界の輪郭が少しだけ歪む。
痛みでも快楽でもない、
ただ“境界が溶ける感覚”だけが残る。
syp「…一緒ならいいって思うか?」
俺は答えない。
答えた瞬間に壊れる気がしたからだ。
代わりに、手を握り返す。
その手を両手で労るようにsypは受け取った。
その行為は誓いというより、降伏に近かった。
窓の外では、夜がゆっくりと沈んでいく。
どこかで始まりが終わり、
どこかで終わりが始まっている。
そんな循環の中に、
二人だけが取り残されているようだった。
syp「なぁ」
最後にsypは言う。
syp「もし全部終わるなら、そのときは——」
続きは、言葉にならなかった。
でも俺は分かってしまう。
同じ場所へ行くこと。
離れないこと。
最後の最後まで、
“一緒だったという事実”だけを残すこと。
それだけが、
二人に許された唯一のやさしさだった。
そして夜は、音もなく閉じていく。
まるで最初から、そこに何もなかったみたいに。
_彼らの命は全てを受け入れる海へ戻り、
この2人の現実逃避の永い旅は幕を閉じ、
人生は終わりを迎えるのであった。
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