「あの……お友達から……。でもいいかな?」
私は肩を落としている鬼島君にそう言った。
すると、鬼島君は私の顔を見て何か考えるようにして眉間にシワを寄せた。
「……ん?それって付き合える可能性があるのか?」
「うん……って言うとちょっと偉そうだよね……。でも、もう少し鬼島君の事知って真剣に考えてから……。それから告白の答え出したいんだけど…いいかな?」
そう言うと、
……なんと、あの鬼島君が笑った。
「よっしゃあッ!すげぇ嬉しい!!! 」
「……」
……トクンッ
初めて見る鬼島君の無邪気な反応と笑顔に私の胸は高鳴っていた。
「あのさ……この後一緒に帰れるか?」
「……」
「シーナ……?」
「えっ?あ、うん!帰れるよ!ごめん……ボーっとしちゃって」
鬼島君の笑顔に見惚れてた……。
まだちゃんと話したの初めてなのに!こんな事でドキドキしちゃうなんて私惚れっぽいのかな?
私は鞄にそっと広子ちゃんから借りた アレを隠した。
「ハァハァ……」
鬼島君との下校。
10分も経たないうちに私は息を切らしていた。
だって……鬼島君歩くペースが速い……。
小走りで着いて行ってたけど、さすがに途中で息が上がってしまって鬼島君はどんどん先に行ってしまう。
「なぁ、シーナの家は……。あれ?シーナ!?」
鬼島君は私に話し掛けた時に気付いてくれて、私のいる所まで戻って来てくれた。
「何でそんな後ろにいるんだ!?」
「ごめっ……。鬼島君歩くペース速くて途中で追いつけなくなっちゃって…… はぁはぁ」
「わ、わりぃ……。普通の女子と並んで歩くの初めてで 気付かなかった……」
「えっ?そうなの?鬼島君、大学生の人と付き合ってたって聞いた事あったから……」
「は……?俺、彼女とかいた事ねぇぞ?告白したのも……シーナが初めてだからな」
「あ……。そうだったんだ」
「お……おう……」
鬼島君は少し頬を紅く染めて顔を背けながらそう言った。
鬼島君の初めての告白の相手になれたなんて嬉しくて……上手く反応が出来ないよ。
やっぱり噂なんて嘘だったんだ。
その後、鬼島君は私の歩くペースに合わせてくれて他愛のない話で盛り上がった。
鬼島君との時間はすごく楽しくて別れ際なんかもっと一緒にいられたらいいのになぁなんて考えちゃったりして……
鬼島君との事、前向きに考えようって思えた。
*続く*
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すこ