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いつもと少し違う書き方で、凄く好きでした!!🫶✨ 続き待ってます!
僕はいつも独りぼっちだった。
友達なんてできたことないし、物心ついた時から親は居なかった。どんなときでも独りぼっちだった。
いつも通りの朝。周りに話せる人なんていないし、教室の隅っこで静かに過ごすのが僕のルーティンだった。朝の教室はいつもガヤガヤしている。「昨日のテレビ見た?」とか「アイツ先生に怒られたらしい」とか人間、うわさ話とくだらない話が大好きだ。当然僕は静かに本を読んでる方が好きだ。いつものように授業をこなして、本を読んで、誰とも喋らないまま静かに家に帰る。そんな日々は僕にとって当たり前だ。可哀想とか、学校つまらなさそうとか思うかもしれないが、僕にとっては日常なので寂しいともつまらないとも思わない。僕に感情は無いのかもしれない。
ある日、いつものように学校に行き、教室の隅っこで本を読んでいると、「ねえ」と声がした。ほかの人と喋っていてたまたまぼくに聞こえただけで話しかけられてないと思い、本を読んでいたのだが、もう一度
「ねえってば」と言われた。ほんとに僕のことを呼んでるのかなと思いつつ、もういちど本に目を落とした。次の瞬間僕の耳がおかしくなければ「伊藤くん」って呼ばれた気がする。僕のことを呼ぶような変人はいるのかと、周りを見渡したら近くに松田さんが立っていた。
「あ!やっと気づいた」どうやらずっと呼ばれていたらしい、呼ぶやつなんて居ないだろうと思い無視していた。
「ごめんね。無視しちゃって」
「伊藤くん話しかけても無反応だったからびっくりしたよ」
「学校で人としゃべったことないからさ、僕に話しかけてんのかわかんなくて、ごめん」
「そっか、私も昔そうだったから気持ちわかるよ!」
正直、松田さんに僕の気持ちが分かるはずがないだろ!って言いたかったけど教室で悪目立ちしてしまうのでグッと飲み込んだ。
「そうなんだ。そういえば僕になんか用?」
「伊藤君ってさ、本好き?」
「本?好きだけど」
「私も本好きなんだけどさ、伊藤くんならおすすめの本いっぱい知ってるかなって思ってさ」
「図書館の本でいいんだったら、おすすめの本いっぱいあるけど」
「ほんと!?今度教えて!」
「僕でよければ」
「やった!ありがとね!伊藤くん」
「うん」
久しぶりに人と話して緊張したけどなんとか話せていたような気がする。ちなみに僕に話かけてきた変人の名前は松田奏。みんなからはかなちゃんって呼ばれてる。顔立ちも良くて、学年の中では誰もが知ってる。いわば、学年のアイドル?的な感じの子だ。今まで松田に告白してきた人はみんな撃沈という伝説もあるくらい有名だ。なぜそんな子がいきなり話しかけてくれたのかは分からないが、僕にとってはそんなことさえどうでもいい。相手が誰であれ、話す時は緊張するものだ。