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君が好き。

3 - 第三章 疑問。

♥

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2024年05月10日

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朝焼けの瞳に、白銀の乱雑に切られた髪、細く白い身体。

其の全てが愛おしくて、堪らない。

其の全てを僕のモノに、

否、僕のモノだ。

誰にも渡さない。

邪魔をする奴は全員消す。

例え、

どんな手を使ってでも。


じわじわと肌に伝わる熱。

煩く泣く蝉共。

本当、夏って嫌い。

チョコレヱトも直ぐ溶けるし、

兎に角暑い。

でも、君は好き。

隣で風にサラリと髪を吹かれ、擽ったそうだ。

可憐。

一生懸命黒板を見ながら板書している。

綺麗。

ふわぁと口を開けて欠伸をする。

素敵。

此方の目線に気付きにこりと微笑む。

好き。

……では教室のハジを見てみよう。

おや?俯いてるくらぁい人が居る。

栗色のふわふわした髪。

恨めしい。うら

最早 “ 半袖 ” という概念をぶち壊す服の下の包帯。

怨めしい。うら

無駄に整った綺麗な顔。

ウラメシイ。

さて問題です。

何故僕は “ 彼奴 ” を嫌っているのでしょうか。

答えは、

このモノガタリの最期に。


「敦くん」

「へっ、あっ、だざい、さん……」

「此の前は、あんな態度とって御免ね」

「いっいえいえ!あの時、機嫌が悪かったんですよね……!」

「……うん」

少し、苦しそうなのは、

気の所為だろうか?

此処はあまり日が当たらない図書室なので、

太宰さんの顔は暗くてよく見えない。

人も居ない。

生憎、今乱歩さんは職員室に呼び出されている為、

此の図書室に二人きり。

何処と無く気まずい。

「敦くん」

「はっはい!?」

急に声を掛けられ、可笑しな声を出す。

「ねえ、私の事嫌い?」

「え?」

「私の事、」

「憶えてる?」

「……え?」

意味が判らず、同じ言葉を繰り返す。

憶えてる?だとか、そんなの知らない。

太宰さんとは新学期が始まって初めて会った、

初めて、

初めて?

あれ?だったら如何して。

先生は転校生の事なんて何も説明していない。

つまり彼は新学期前から教室に居るはず。

けれど、僕の記憶には太宰さんの事なんて欠片も無い。

一体何故……

「敦〜!!」

「!」

何時もの声が聞こえた。

安堵しスクリと立ち上がる。

其の時、太宰さんに腕を掴まれた。

「行っちゃ駄目だよ 」

「はい……?」

「彼の元には行ってはいけない」

「何でですか?」

何故なのかと問う。

太宰さんは、諦めたのか、

それとも絶望したのか。

そっと目を閉じ、「……なんでもない」

と呟き消えていった。

「敦?」

「あっ!ここに居ます!」

「もぉ、何してたのさ」

「一寸本を探していまして……」

あはは……と苦笑いをし誤魔化す。

「ふぅん……」

其の笑いを見て、彼は何を思ったのか。

僕には到底判らない。

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