テラーノベル
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若井の手が俺の肩を掴んで
強く揺さぶるみたいに迫ってくる。
その瞳には、不安と焦燥と、
俺にしか向けられない熱が混じっていて
……逃げられなかった。
「答えろよ、元貴……!
俺にはっきり言えよ! お前が……
涼ちゃんのこと好きなのかどうか!」
胸が痛いほど高鳴って、息が詰まった。
どう答えればいいのかわからなかった。
涼ちゃんは優しいし、
俺を気にかけてくれる。けど、それは恋じゃない。
でも、俺は……。
俺が本当に欲しいのは……目の前の、若井なんだよ。
声にしようとしたけど、喉が震えて、言葉にならない。
――なら、せめて。
「……っ、若井」
俺は衝動に任せて、若井の制服の胸を掴み、
そのまま背伸びして唇を押し当てた。
一瞬、世界が止まった気がした。
柔らかい感触に、自分の鼓動だけが耳の奥で響く。
ほんの数秒だったのに、
体中が熱で包まれて、頭が真っ白になる。
離れると、若井はぽかんと目を見開いていた。
頬は真っ赤で、目尻まで熱が上がっている。
「……説明なんてできねぇよ」
俺は震える声で絞り出した。
「でも……涼ちゃんに向ける気持ちと、
お前に向ける気持ちは……全然違う」
若井の喉がごくりと動いた。
次の瞬間、強く腕を引かれて抱きしめられた。
「……バカ……」
耳元でかすれた声が落ちる。
「そんな……そんなことされたら
……もう絶対離せねぇだろ……」
俺の心臓は爆発しそうで、
けど安心感が全身を満たしていく。
若井の鼓動が、俺の胸に重なって響いていた。
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まって、ドロドロ関係過ぎやしないか。
大丈夫かな。
30話以内に収まるかしら?
コメント
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おさまらないと私は思う