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放課後の教室。日直のワイを残してみんなは帰ってしまった。
一人ぼっち。そう思うと寂しくなった。他の子なら「親友」が待ってくれるけどワイの、今はいない。
前はいたんだよ。それが、シャオロン。シャオロンとは、親友だったんだ。でも、3年生の頃、突然無視されるようになったんだ。なんのきっかけもなく、ですよ?
いや、本当はワイが気づかんうちになにかしでかしたんかもしれない。でも、話しかけても無視されて何も聞くことができん勝ったんだ。
そんな事があって、友達欲しいけど……作るんが、怖いんよ。
いっそ、転校すれば何もかもはじめからやり直せるんかな〜。
って、あの転校生の事を考えたら、同時に朝の出来事を思い出す。
ロボロの異変と、時間の進まない実習室。さっそうと現れたゾム。
非現実的すぎて、あれはやっぱ夢やったんや無いか?って思い始めてる。
でも、手にもっとった鍵は、本物じゃないと、説明がつかん。
「うーん、どうしたもんか?」(ショッピ)
ポッケから鍵を取り出す。ワイの手にぴったりサイズ。重くもなく軽くもない。初めて持った気がしない。
手の中で鍵を回してみた。
名前は書いていない。当たり前か。
ふと、「お前は魔法使いだ」っていう声を思い出す。
「…いやいや、まさか。やっぱり勘違いやんな。」(ショッピ)
「なにが?」
「っえ!」(ショッピ)
突然響いた声。聞き覚えがありすぎる。
驚いて振り返ると、真後ろにゾムが立っとった。不機嫌そうな顔をしながら。
「なんのごようでしょうか?ワイ、日誌やっとるんですが?」(ショッピ)
「だから終わるのを待ってやってるんだ。」(ゾム)
教室に誰もいないからってキャラ変わり過ぎやない?
「なんの用事や?えっと……ゾム、さん」(ショッピ)
「なんだそれ」(ゾム)
ゾムは小声でいった。
「呼び捨てにしろよ。」(ゾム)
「…………………」(ショッピ)
だ、だから他の人達の前と態度が違いすぎるんやって。
「鍵、ちゃんと持ってるだろうな。」(ゾム)
「持ってるに決まっとるやろ。」(ショッピ)
やっぱ、夢やなかったか〜。握ったままの鍵を見せると、ゾムは満足そうにうなずく。そしてゾムの首に下がっていたチェーンを取り出す。
チェーンの先には、ワイのとようにている鍵やった。少し銀色っぽい。
「それ…」(ショッピ)
「これは俺の鍵」(ゾム)
そう行って真剣な表情で聞いてきた。
「本当に忘れているのか?俺のこと。あの約束も」(ゾム)
「それって、ワイとゾムさ、じゃない。ゾムが初対面じゃないってことやんな。今朝ゾムが転入してくる前に…あの時間が止まったときあったよな。それとは別にか?」(ショッピ)
ゾムは悲しそうな顔をしてから怒り顔になった。
「なんで覚えていないんだ?スイーツ・マジシャン。それも覚えてないのか?お前は魔法使いなんだよ。」(ゾム)
って、怒られても、ワイは何もわからんのやって。
「どうゆうことや?ワイは魔法使いやないよ?」(ショッピ)
ゾムはすこしかんがえてから教室の外を指で指した。
「仕方ない……見せてやる。一緒に来いよ、一人見つけてあるから。(ゾム)
連れてこられたのは特別教室。金管楽器の音が響いてる。
その道中にゾムは、黒い生き物のこと、スイーツ・マジシャンのこと、そしてそれらと関係のあることを話しっとた。
この世界には心の病気の原因となる「バグ」という存在がある。
これに取り憑かれると心がすさんだり、無気力になってしまう。
通常見えないこれを取り除けるのが、「魔法使い」の存在。
ゾムはスイーツ・マジシャンらしい。そしてワイもそうだという。
つまりワイたちは、「バグ」を消すことの出来る「魔法使い」なんやって。
こんなん信じられる?信じられるわけがないよね。
ワイもそうや。まだ半信半疑。でも、朝の出来事と真剣な顔のゾムを見てたら納得しそうな真実味があった。
「いた」(ゾム)
音楽準備室の中。ゾムは銀色の鍵を顔の前にかざして言った。
「なんや?」(ショッピ)
「あの1番左のサックス、見てみろ。その鍵を通して。」(ゾム)
促され言われたとおりにする。
いたいた。あのヒトは確か…鬱じゃなかったけ?
あれ、黒いのがまとわりついてない?朝ロボロについていたあれじゃないか?
「バグに取り憑かれているのが分かるか?」(ゾム)
「あ、ああ」(ショッピ)
やっぱりでもまさか、本当に見えるなんて。
「もっと見てみろ。記憶が食われてるのが分かるだろ。」(ゾム)
記憶が?どういうこと?
更にじっくり見てみると……徐々に記憶がぼやけ始めた。その代わりに全くちがお景色が見えてきた。
「バグは人物によって最も幸せな記憶を食べる。そして、食べられた記憶の種類によって対応できる魔法が違う。」(ゾム)
「魔法の、種類?」(ショッピ)
「ああ、あれは幸せなお菓子の記憶だから、俺たちが対応する。」(ゾム)
「どうやるんや?」(ショッピ)
言いながらワイは今朝ゾムが持っていたマカロンを思い出す。
「スイーツマジックを使う。魔法のお菓子のことだ。魔法のお菓子には、バグを消して心を癒やす力がある。」(ゾム)
「魔法のお菓子?」(ショッピ)
「魔法のお菓子はアトリエで作るんだ。ついてこい」(ゾム)
そう行ってゾムは音楽準備室の扉に銀色の鍵を差し込む。
って、そこ!?だってその向こうは廊下だよ?
驚いていたワイは更に驚くことになった。
だって、鍵が合わないはずなのにゾムの鍵は鍵穴に吸い込まれるかのように入っていったんや。
そのまま鍵を回す。音がなると、ドアを開けると――――――その向こうには廊下がなかった。
水面みたいに景色が揺れている。
「先にいけよ」(ゾム)
って、ゾムが背中を押した。う、うそやろ!
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第4話です。
長くなってしまいました。次は短いかもしれません。
〜乙響〜