次のテーブルにクロスを掛けながらも、華の指はわずかに震えていた。
――さっき、手に触れた。
――すぐ隣で、息がかかるくらい近かった。
胸の鼓動が速まるのを止められない。
「桜坂さん、クロスの端、もう少し揃えて」
律の声に我に返り、慌てて布を整える。
「は、はいっ!」
声が上ずり、自分でも恥ずかしくなる。
律は気づいていない様子で、黙々と作業を続けていた。
――この気持ち、いったい何なんだろう。
華は頬を赤らめたまま、クロスを握り直した。
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