すべてのテーブルにクロスを掛け終え、会場が整然とした空気に包まれた。
汗ばむ手のひらを制服でぬぐいながら、華は律の様子をうかがう。
彼は一歩下がって会場全体を見渡し、短く言った。
「……まあ、悪くないです」
「えっ……!」
思わず声が弾む。
「もっと手際よくできれば理想ですが、今日は初めてにしては十分でしょう」
相変わらず素っ気ない口調。けれど華には、その言葉が大きなご褒美に思えた。
「ありがとうございます!」
満面の笑みを浮かべた華に、律はわずかに目を細め、すぐに視線を逸らした。