Bye Bye トンネル

 休日、暇なので僕は懐かしい場所を片っ端から回ることにした。

 何気ない場所。卒業した学校。どこも懐かしいんだが、一番好きなのがこの今は使われていない廃トンネル。ここでみんなでよく遊んだっけ。

「おーい」

 声がトンネルのなかを反響する……そして返ってくる。

「暇だから来たぞー」

 また反響して……そして返ってくる。昔はよくこうして遊んで笑い転げたけど、高校生になった今ではちょっと物足りなくなってしまった。

 ひとしきり遊んでから、帰ることにした。

「じゃあな」

 また声が反響して、返ってくる。ちょうど夕暮れ時、帰ったら夕飯でも食べるか。

 じゃあな。

 ふいに振り返った声は、トンネルから聞こえてきた声で、自分の声のはずなのに、なぜだか違う誰かの声に聞こえた気がした。