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「シャルルダルク様!怪我をされておるではありませぬか!
見せてくだされ!」
「大事無い!」
シャルルダルク様は振り向かずにそう言う。
結局馬車までシャルルダルク様は歩き、馬車の中で私は涙を目に溜めながら、必死で応急の手当をした。
かなりの捻挫で、赤く腫れ上がっている。
シャルルダルク様はしかし、痛いの一言も言わない。
「申し訳ありませぬ…
私のせいにございまする…」
「別にそなたのせいでは無いわ。
女子1人上手く庇えぬ自分に腹が立っておる。」
「…カッコつけすぎにございます。」
「カッコつけておるのではなく、元からカッコいいのだ。」
私は泣きながら、少し笑ってしまった。
「しかし、そんなに言うなら、助けた礼をしてもらおうか?」
シャルルダルク様はニヤリと笑って言う。
「はい、私に出来る事でございますれば!」
「口づけせよ。」
「は…???」
「だから、俺に口づけよ。
それでチャラにしようでは無いか。」
「そ、そ、それは…!!!」
「なんでもすると言ったのは、嘘であったか。」
「う、う、嘘ではございませぬ!」
「では、有言実行してくれ。」
「わ、わ、私から口づけるのでございますか…?」
「そうでなければ、礼とは言うまい。」
シャルルダルク様は私に顔を向け、目を閉じた。
私は…
シャルルダルク様の肩に手を置き、震える唇をそっとシャルルダルク様の頬に口づけた。
「おい…
まて…
誰が、頬にと言った!?
まさか、今のが口づけか!?」
「く、く、口にせよ、とはおっしゃら無かったではありませぬか!」
「やり直しじゃ!」
「口づけは口づけにございまする!」
「お前、俺に怪我をさせて本当に悪いと思っているのか!?」
シャルルダルク様は思いっきりムキになっている。
「思っているから、口づけたのでしょう!?」
結局、私たちは口づけを巡ってバトルになり、後宮に着くと喧嘩別れしてしまった。
こんなはずではなかったのに…
私はしょんぼりして、採った薬草を仕分けしていった。
唇にすれば…
シャルルダルク様と喧嘩せずに済んだのか…?
しかし、あれぐらいで怒るなどと子供っぽいではないか!?
好きだとも言わぬのに、口づけだけしようとは!
とんだプレイボーイでは無いか!
私は薬草を煎じる手に力がこもる。
結局、シャルルダルク様はそれから数日、私の部屋に来なかった。
私はことの成り行きを誰にも話せぬまま、相変わらず、訪ねてくる姫君や女官達に薬を処方していた。
そして、やはりシャルルダルク様はいまだに私の部屋には来なかった…
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