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その日、ベニバナのドレッシングを調合していると、レガット様が久しぶりにお見えになった。
「レガット様、お久しぶりでございます。
誕生日パーティー以来でしょうか?」
私は挨拶する。
「あぁ。
久しぶりだ。」
レガット様はソファに腰掛ける。
私も対面の席に腰掛けた。
「兄上と喧嘩中なのだそうだな?」
「え、えぇ…
まぁ…」
やはりシャルルダルク様はまだ怒っていらっしゃるのか…?
「何があったか、教えてくれぬか?」
「それが…
カクカクシカジカで…」
私は事の成り行きを説明する。
「それは多少そなたがずるいな…笑」
レガット様は苦笑いしてそう言った。
「私が悪いのですか!?」
「悪いとは言っておらぬが…
ずるいのだ…」
「しかし、口づけには変わりないでございましょう?」
「うーん…
まぁ、それはそうだが…
兄上が仕事に励む時は落ち込んでいる時なのだよ。
最近は政務に力がこもっておる。」
「あら、私のおかげでございますね!
政務に力が入るのはよろしいではございませんか。」
「ふぅ…
そなたも中々強情だ…」
「その話をしにいらっしゃったのですか?」
「いや、ちがう。
マリーナ、我が国に3人の国医がおるのは知っているか?」
「え、えぇ。
ザイル殿、シャゼル殿、モーレル殿、の御三方だと聞き及んでおりまする。」
「そう、その中の1人、シャゼルがそなたと勝負をしたいと申しておるのだ。」
「は…?」
勝負?
勝負って、勝負?
一体どうやって?
私の頭には?が浮かぶ。
「マリーナ、そなたの薬師としての噂は後宮にとどまらず、王都に広がりつつある。
しかし、シャゼル(男)はそれを良しとは思っておらぬのだ。
まぁ、シャゼルにももちろんプライドがあろうから、分からなくもないが…」
「は、はぁ…
しかし、どのように勝負致すのでございますか?
同じ病の病人は都合よく転がってはおりませぬぞ?」
私は眉をひそめて言う。
「うむ。
王都メイナスにはメイナス病院がある。
そこで、1ヶ月間の治療の成果を競いたい、との事だ。」
「はぁ…」
私はマヌケな声しか出ない。
はっきり言って医術の勝負など、馬鹿らしいにも程がある、そう思った。
医術は人を助けるため。
そこに、優劣はないはずだ。
いや、あるかもしれぬが…
「気が乗らなそうだな。笑」
レガット様がおっしゃる。
「医学は勝負事ではございませぬ。」
「しかし、棄権すればシャゼルの思うつぼぞ?」
「少々考えさせてくだされ…」
「あぁ、シャゼルも忙しいゆえ、来月からと言っておった。
よく考えるといい。」
そして、レガット様はしばらく私と他愛無い話をして去って行った。