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中毒
学パロ。雨の日の傘
〜〜〜
心友
なろさんが病んでさむさんとでかける
茶渋がとれないマグカップ。
これ戦友の方がいいな
ーー
ピーンポーン
焦る気持ちと裏腹に、インターホンは間抜けな音を立てる。返事は、ない。不安と共に微かな苛立ちを覚え、ため息をひとつ吐く。瞬間白く濁った空気が漂うも、絶え間なく吹き付ける冷たい風によってあっという間に消し去られてしまった。
俺の家から徒歩と電車で30分程。恋人が住むこのアパートを訪ねるのは、一体何度目だろうか。そんな、 普段は気にも留めないようなことが頭をよぎった。
今にして2人とも引きこもりであるがために合鍵を交換しなかったことが悔やまれる。インターホンを押してもドアを叩いても反応は無く、焦りは募るばかりだ。
スマホの電源を入れ、ラインのアイコンをタップする。アプリが立ち上がる時間すらもどかしく、俺は再度インターホンを鳴らす。やはり、返事はない。
もう一度スマホに目をやり、友達一覧の一番上に鎮座するそいつのアイコンをタップする。俺が1時間ほど前に送ったメッセージには既読もついていなかった。別にそれ自体はよくあることだ。俺もサムライも、直ぐに返信するようなタイプではない。
でも、何故か今日だけは嫌な予感がして。
ーー
〜〜〜
戦友
学パロ。厨二なことバラされて浮いてるかいさんと人気者のさむさん。銀杏といちょう。
ーー
秋の通学は嫌いだ。
学校からバス停へと続く一本道に、イチョウの木がずらりと並んでいるから。鮮やかに色づいた秋の象徴は歩道に大量の銀杏を落とし、誰にも掃除されることなく何とも言えない異臭を放っている。
時刻は17時30分。こんな田舎の高校だ。すっかり日が落ちてしまった住宅街に街灯なんてそう沢山あるわけもなく。
俺は周りの家々から漏れ出てくる橙を頼りに足を進める。銀杏を避ける余裕なぞ、当然ない。一歩踏み出すごとに不快な感触が足を包む。できるだけ匂いを吸い込まないよう口だけで息を吸い、マスクの針金部分に手を伸ばして形を整える。不織布から少しはみ出た金属が、緩く頬を刺していた。
20m程の銀杏ロードを通り抜け、思い切り空気を吸い込む。自分の息と外気との温度の差で少し湿ったマスクが気持ち悪く、周りに人が居ないことを確認してから耳に手をかけた。
ブレザーの袖で口元についた水滴を拭うと、ひんやりとした風が顔をくすぐり、表しようのない程の爽快感が俺を包んだ。銀杏さえなければ秋のこの雰囲気は大好きなんだけどな。
そんなことを考えながらマスクをポケットに突っ込み、そのままワイヤレスイヤホンを取り出す。高校の入学祝いで買ってもらったものだ。黒を基調としつつ細く引かれた赤いラインが目を引くそれは俺の趣味にぴったりで、何度眺めても惚れ惚れしてしまう。
去年銀杏ロードで取り出そうとした際に落として以降、必ず周りに何も無いことを確認してから着けるようにしている。こんなにも格好良いイヤホンに銀杏の匂いがつきでもしたら最悪だ。
電源をつけ、右耳から装着。スマートフォンを操作し、登校中に聞いていたプレイリストを再生する。曲はサビの直前で停止されていたらしく、再生マークをタップした途端、このバンド特有の低いベースが駆け巡る。耳の中で音が弾けて、周りの景色が遠ざかっていく。
音楽を聴く時のこの感覚が大好きだった。
ーー
〜〜〜
あにきょう。
夏祭り。片思いかもめさん。チーズハットグっておいしくない
かいた!!
〜〜〜
心友
片思いさむさん。自転車緩くブレーキかけるの気持ち悪いよね
いやこれ中毒組かも。
〜〜〜
戦友
死ネタ。戦場パロ。さむさんが死んじゃって……
〜〜〜
戦友
幼馴染パロ。針千本
ーー
おおきくなってもずぅうううっといっしょだよ!!
ねぇー!きいてる!?うんそう!やくそく!…んもー、わかってないじゃん!!
こゆびだして!……はーやーく!!
そうそう!ほらいくよ?せーのっ!
ゆーびきーりげーんまん!うっそつーいたら
ピピピピッ
ピピピピッ
ピピピ
うるさい。寒い。眠い。
手探りでスマホをタップすると、部屋から音が消えた。自分の呼吸音が、やけに遠くから聞こえる。
あぁ、このまま二度寝してしまいたい。布団にくるまりながら思う。5分後にもう一度アラームが鳴るんだし、まだ時間には余裕ある、はず。
…いや待てサムライ翔。今までそれで幾度となく失態を犯してきただろう?今日は流石に遅刻するわけには行かない。 一旦時間を確認しよう。
そう思い、壁にかけてあるシンプルな時計に目をやった。
………ん?おかしい。
目をこすって再度時計を見つめる。
………おかしい。
先ほど黙らせたスマホを手に取り電源を入れる。
表示された時刻は17:54。恐る恐るメッセージアプリを開くと、案の定KAITOから大量のメッセージが来ていた。
ぬぬぬぬぬぬ
「「嘘ついたら針千本飲ーます!指切った!」」
成人男性同士が小指を絡めて懐かしい歌を口ずさむ。はたから見れば異様な光景だろうが、こいつには昔からこういう節があるのだ。
職業柄突っ込みたい欲が俺を襲ったが、KAITO本人はこれで至って真面目なのだ。遅刻してきた身としてはあまり強くは出られない。
ほとぼりが冷めた頃に配信のネタにすることを心に決め、来る途中で買ったペットボトルに口をつける。
絡めた小指がやけに熱を帯びていて、舌に残る苦味だけが既に冷たくなった珈琲の味を教えてくれていた。
ーー