テラーノベル
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それから、季節は静かに巡っていった。
進路のことで涙を流したあの日から、みことは元々成績は中の上をキープしていたがさらに 苦手な科目にも逃げず、分からないところはすちに相談し、一歩ずつ積み重ねた。
そして――受験生になったある日。
高校から正式に知らされたのは、志望大学の指定校推薦枠に、みことの名前が入ったという知らせだった。
担任から呼び出され、少し緊張した面持ちで職員室へ向かったみことは、結果を聞いた瞬間、しばらく言葉を失った。
「……え、俺が……?」
「成績も出席も問題なし。先生たちの評価も高い。胸を張っていいよ」
そう背中を押されても、実感が湧かず、ただ瞬きを繰り返すばかりだった。
真っ先にすちへ連絡を入れる。
『すち兄……指定校推薦枠に入れたって……』
電話越しに少し震える声で伝えると、一拍置いてから、弾むような声が返ってきた。
『ほんと!?やったじゃん、みこと!』
心から嬉しそうなその声に、胸の奥がじんわり温かくなる。
『ちゃんと頑張ってたもんね。俺、めちゃくちゃ嬉しい』
その一言で、ようやく現実味が追いつき、みことの目にはうっすらと涙が浮かんだ。
「……えへへ……ありがとう……」
電話越しでも伝わるほど、ふにゃりと力の抜けた笑顔だった。
一方、すちのほうも順調だった。
就職活動は思っていた以上に早く進み、志望していた企業から、早めに内定の連絡が届いていた。
『俺も内定もらったよ』
その報告を聞いたみことは、自分のことのように喜び、電話口で小さく跳ねる気配さえ伝わってくる。
『ほんと!?すごい……!じゃあ……また一緒に住めるね……?』
『うん。いよいよだね』
互いの未来が、同じ場所へ向かって収束していくのを、ふたりともはっきりと感じていた。
それから帰宅後、自然な流れで話題に上がったのは――新居のことだった。
「そろそろ、部屋探ししよっか」
休日に並んでスマホを覗き込みながら、すちがそう切り出す。
「え……もう……?」
口では驚きつつも、みことの尻尾が見えそうなほど、表情はそわそわと浮き立っている。
「だって、入学と入社のタイミング考えると、早めの方がいいでしょ」
「……また一緒に住めるんだよね……」
小さく確認するように呟くみことに、すちは優しく笑い、みことの頭を撫でた。
「もちろん。一緒に住むよ」
その一言で、みことの頬は一気に赤く染まり、嬉しさを隠しきれないまま、すちの袖をぎゅっと掴んだ。
そして、本番に向けての準備も怠ることなく進めていた。
「…んっ、んっ…!」
「だいぶ柔らかくなったかな?」
みことの中にすちの指が埋められ、拡げられる毎日。
とある箇所を指で抉ると、
「ん゙ッ…!! まっ、へ…!ぁ゙んん゙っ…ゃッ、~~ッ!」
みことの全身はがくがく揺れ、簡単に絶頂してしまうようになっていた。
「ぁっ~、?しゅ、ちぃっ」
すぐにぽやぽやになってしまうのみことが愛しすぎる。
「あ゙~~~、今すぐにでも襲いたい…」
本音だだ漏れになるほど、すちはひたすらに我慢を貫いていた。
「中の洗浄とか、誘い方とか、何処で習ってきたの?」
「ぇっ…と…、し、しらべた…!」
いるまとひまなつに教えてもらったなんて口が裂けても言えないと秘密を守り続けるみこと。
すちは何となく察しながらも続ける。
「さっきのおねだりも本当に嬉しかったなぁ」
すちがソファに腰を下ろして本を読んでいると、ぱたん、と静かにページを閉じる音より先に、柔らかな気配が近づいてきた。
「……すち」
呼ばれて顔を上げた瞬間、みことがするりと彼の膝に跨る。バランスを取るために、すちの肩にそっと手を置いて、少し照れたように視線を泳がせた。
「どうしたの?」
すちが微笑むと、みことは小さく唇を尖らせる。
「……キス、してほしい」
囁くような声に、すちの表情が一瞬だけ柔らかくほどけた。みことの腰に軽く手を添え、距離を詰める。
「もちろん」
額が触れ合い、互いの息が混ざる。みことは目を閉じて、少し背伸びをするように唇を近づけた。
唇が重なった瞬間、すちの指がみことの顎をそっと支えた。逃げ場を塞ぐように距離を詰めると、やわらかな唇がゆっくりと開かれていく。
「……ん……」
触れた舌の温度に、みことの喉から小さな声がこぼれた。自分でも驚いたのか、一瞬息を呑むけれど、すちはその反応が可笑しいほど愛おしくて、さらに深くキスを重ねる。
唇が離れそうで離れない距離を行き来しながら、呼吸が絡まり、息がかかるたびにくすぐったそうにみことが身を震わせた。
「ふ、……んっ……」
抑えきれない吐息混じりの声が、静かな部屋に溶けていく。耳元で微かに漏れるその音に、すちは思わず喉を鳴らし、みことの背中を抱き寄せた。
深く、ゆっくり、何度も唇を重ねるたびに、みことの声は少しずつ甘くなっていく。恥ずかしそうに目を伏せながらも、離れたくないとでも言うように、指先がすちの服をきゅっと掴んだ。
「……声、可愛い」
囁かれると、みことはさらに小さく「……やだ……」と漏らして、また唇を塞がれてしまうのだった。
ふとした瞬間、みことの頭に、その時の感触がよみがえった。
背中に包まれる腕の重さ、離さないみたいなぬくもり。耳元で聞こえた低い声まで、妙に鮮明で。
「……っ」
思い出しただけなのに、胸の奥がきゅっとして、頬が一気に熱くなる。自分でも分かるくらい、顔が赤い。
みことは慌てて視線を逸らし、手でほっぺたを押さえた。
「な、なんで今……」
誰に聞かせるわけでもない小さな独り言。心臓の音がうるさくて、落ち着かない。
そこへ、視線を感じて顔を上げると、すちが不思議そうにこちらを見ていた。
「どうしたの?」
「……な、なんでもない……!」
そう言いながらも、目が合った瞬間、さっきの回想がぶり返して、さらに顔が熱くなる。みことは耐えきれず、すちの胸元に顔を埋めた。
「ちょ、みこと?」
「……見ないで……」
くぐもった声に、すちは一瞬きょとんとしてから、すぐに察したようにやさしく笑う。
「……思い出した?」
何も言えずに、こくっと小さくうなずくと、すちはそのままそっと抱き寄せた。
「照れてるの、可愛い」
「……もう……」
そう言いながらも、みことは離れようとせず、胸に顔を埋めたまま、静かに深呼吸するのであった。
コメント
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てぇてぇが限界突破しとる……神です
本当にこの話好きです