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「おーい、ムウマー」
中庭にやってきた雪乃、美希、ミナミ。
大樹のそばでムウマを探すが、全然出てきてくれない。
「そうだ、ミーナ、今日なにかお菓子的な物は!?」
「あ、一応持ってきたよ」
「でかした!それをムウマと私に!」
「ちゃっかり貰おうとするな」
美希に頭をはたかれる。
ミナミは袋からマカロンを取り出し、
「ムウマ、お願い出てきて」
ムウマに話しかける。
すると、マカロンが消えた。
「ムウマ!お願い、話を聞いて欲しいの!」
すかさずミナミがムウマに語りかける。
「あなたが待ってる人が見つかったの!ずっと、誰かを探してたよね?長い間、ずっと…」
次第にムウマの姿が色濃くはっきり見えるようになってくる。
「でも、その人は訳あってここには来れないの…だからムウマ、会いに行かない?その人に、会いたいよね?」
「……ムゥ」
ムウマは何か思い詰めた顔で木を見つめる。
そして、首を横に振った。
「え、ど、どうして……」
「…ムゥ」
ムウマが何を思っているかはわからない。
けれど、一緒に行くことはできないと言う。
そして再び姿を消し、見えなくなってしまった。
「ムウマ…」
ミナミは悲しそうに木を見つめる。
「何故だかは分からないけど、ここを離れたくないみたいね」
「…こんな時、ムウマの言葉が分かれば」
雪乃は言いながらハッとした。
「いるわ、この道のエキスパートが」
雪乃はスマホを取り出し、誰かに電話をかけ出した。
「あ、来た来た。委員長〜」
数分後。
雪乃の連絡で中庭にやってきたのは風紀委員長、瀬戸だった。
「草凪さん、大至急中庭に来てって、一体どうしたの?」
急いで来たらしく、髪も息も乱れていた。
「早速で悪いんだけど、ムウマの声を聞いてほしいの」
当たり前のように言う雪乃に美希とミナミが驚く。
「そんなことできるの?」
「委員長ならね」
何故か自分のことのように誇らしげに言う雪乃。
「えーっと、ムウマ?」
「そう。実はここにいるんだけど」
マカロンを空にかざすとうっすらとムウマが現れる。
「この子の話が聞きたいの。お願い委員長」
なにやら張り詰めた空気に瀬戸も何かを察し、頷いてボールを取り出した。
「頼む、リグレー!」
ボールから出てきたのはブレインポケモンのリグレーだった。
「リグレー、テレパシーでこのムウマの言葉を教えてくれ」
「リリリ」
リグレーの目が光り、ムウマに集中する。
ムウマは口を開いた。
『…約束、したの』