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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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母にはもう二度とお国様の元へ行くなときつく言われていましたが、私はその約束を破り、菊さんの屋敷へと遊びに行きました。菊さんはいつもにこやかに、菊の花の世話をしながら、いらっしゃいと快く迎え入れてくれました。だから菊一さんは、もう、私にとってなんでも言える兄のような存在になっていたのです。

「聞いてよ、菊さん」

「なんですか?」

「兄様たちがひどいんだ。ぼくのことを見ると、いつも出来損ないとか、金の無駄とか言ってくるんだ。ぼくだって懸命に生きてるのに……特に二番目の兄様がひどいんだ! ぼくがいるから、家の価値が落ちるんだって。ぼくを見るとすぐに蹴ったり殴ったりしてくるんだ……」

「……それは、お辛いですね……よく、がんばっていますよ」

「そんなことを言ってくれるのは菊さんだけだよ。みんな、ぼくをばかにするんだから。」

少しばかりの沈黙が走りました。

「こうちゃんのがんばりを知らないなんて、お兄さんは損をしていますねぇ。こうちゃんがこんなにも可愛くって、お話上手で、甘え上手で、しっかりしている良い子ってことを知らないなんて。……もしかして、私だけの、特別ですか?」

菊さんがいきなり声を小さくして、息がかかるくらいの距離で、そっとささやいて、だからつい私の目には艶やかで色っぽく見えました。その艶やかさに私はドキドキが止まりませんでした。

「……菊さんにだけは、ありのままのぼくでいられる、の……」

「まあ、嬉しい。そんな言葉を真正面から言ってくれることは、こんなにも心が暖かくなるのですね。ありがとう、こうちゃん。この懐かしい気持ちを、思い出させてくれて……」

菊さんの額が、私の額にコツンと当たって、菊さんの賢そうな黒い瞳が、私をぐっととらえました。菊さんの清らかな息が、菊さんのしなやかな指先が私の頬に触れ、私の心臓がうるさく走り続けて。

「こうちゃんは、良い子ですね」

胸がきゅっと熱くなるのを、覚えました。

きっと、この時からでしょう。私が菊さんを兄としての感情でなく、みだらな感情を抱き始めたのは。

だけど、あの時はわかりませんでした。どうして菊さんを見るとドキドキするのだろう、菊さんの端正なお顔が綺麗だからだろうか、そう思う程度でした。

そんな私でしたから、私のこの高鳴りの正体に気がつかず、いつも通り、体調が良い日は菊さんの屋敷へたずねていました。母に、バレないよう、慎重に。そう、慎重に、そして着実に菊さんへの思いを募らせていました。

「こうちゃん。ぽちにおやつをあげてみますか?」

「え! いいんですか?」

「ええ、良いですよ。ぽちももうすっかり、こうちゃんのことを気に入っていますから。……ほら、今にも遊んでくれるのではないかと、しっぽを振って待っていますよ。」

菊さんが指さす方を見てみると、柴犬がぴょんぴょんと跳びながら、私の目をきゅるきゅると見つめていました。

「ほら、こうちゃん。」

菊さんに背中を押され、私は柴犬の名前を呼び、手におやつをのせて、差し出しました。柴犬は嬉しそうに私の手をぺろぺろと舐め、嬉しそうに私の足のそばにくるくると回りました。それが可愛くて頭をくしゃくしゃ撫でてやると、柴犬はもっと嬉しそうにしっぽを振り続けるのです。その姿を、菊さんは幸せそうに微笑んでくれるものですから、とても嬉しくてたまりませんでした。

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コメント

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おっと?何やら風向きが変わってきましたわね? わたくしのだーい好きな展開ですわ!! でもタグにモブありって書いてるんだよな……もしモブがこうちゃんなら切ない感じかな? それともモブはこうちゃんの兄とか? まぁどっちにしろありありのあり!!!!!! 取り敢えずポチに犬吸いしたい…

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