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それは突然の情景
目を覚ませば辺りは何も見えず
雲透きの仄かな光は
往く道を照らしてくれるようで
それを辿る
眼前に佇む人の影
それは
胸が引き裂かれるほどで
息の止まる思いだった
きつく目を閉じると
湛えていた涙が頬を伝う
雫は次々とこぼれ落ちて
『そんなに泣かないでよ·····』
滲んだ視界に一瞬だけ過ぎる人影が
頬を伝う雫を掬った気がした
もう一度と願った
オマエの声が聴こえた気がして
頬が緩む
今の顔
最高に汚く笑ってるんだろう
薄暗く差し込む光の筋に
手を伸ばす
──やっと···オマエに逢えた気がしたんだ···──
グチャッ
線香の煙が白い線を引くように
燻る灯火
それは
2本に別れたかと思えば揺らめき1本になった
〔インフルエンザで貰った薬を飲みすぎてしまったらしいわよ〕
〔そうなの?まぁ、薬も過ぎれば毒となるって言うからね〕
〔けど、とても幸せそうな顔だったらしいわ〕
〔────────────────────〕
〔──────────〕
〔───〕
〔─〕
これからもずっと一緒だよ
薬も過ぎれば毒となる
薬も、適量以上に飲めば害になる
燻る(くすぶる)
火が燃え上がるでもなく、消えるでもない、煙だけ出した状態
雲透き(くもすき)
薄雲を通して来るようなほの暗い光。