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「っ、捕まえた……!」
フランスの右手が、必死に逃げるイギリスのタキシードの肩を、ガシッと力強く掴んだ。
「びくっ、!?」
掴まれた瞬間、イギリスの身体が目に見えて跳ね上がる。まるで電流でも流されたかのように激しく怯え、強張った。
普段の気高くて指示上手な彼からは想像もつかないほど、その肩は小さく、そして情けないほどに小刻みに震えている。
「離、し……ッ、離してくださいフラカス……!」
イギリスは振り返ろうともせず、掴まれた肩をめちゃくちゃに揺らして振り払おうとした。
だが、連日の激務と今の全力疾走、そしてさっき派手に転んだダメージのせいで、その抵抗には全く力が入っていない。普段は左利きの強い力で鳴らすイギリスの身体が、今はフランスの右手一つで簡単に組み伏せられてしまう。
「離さない! 君ね、転んでまで逃げるとか、一体何考えてるの!?」
フランスは息を荒げながら、強引にイギリスの身体を自分の方へと向かせた。
「っ、知りませんと言っているでしょう……!」
無理やり向き合わされたイギリスは、ズレ落ちかけたシルクハットの庇(ひさし)をぐっと下げ、必死に顔を隠そうとした。
けれど、近視の右目を覆うモノクルの薔薇と長方形の飾りが、彼の激しい呼吸に合わせて激しく揺れて、隠しきれない動揺を晒している。
そこには、いつもアメリカたちの前で見せている「厳格な親」の面影は微塵もなかった。
弱りきって、自信をなくし、ボロボロになった自分の姿を突きつけられて、今にも消えてしまいそうなほど怯えた蒼い瞳が、ただ一つ、フランスの視界に飛び込んできた。
コメント
1件
うわあ、第5話、すごく切なくて胸が締め付けられました……。普段は気高くて指示上手なイギリスが、ここまでボロボロになって怯えている姿は初めて見た気がします。特に「消えてしまいそうなほど怯えた蒼い瞳」という一文に、彼の弱さと必死さが全部詰まっていて、思わず息を呑みました。フランスが「離さない」と掴む手の力強さが、逆にイギリスの脆さを際立たせていて、二人の関係性がぐっと深まった回だなと感じました。続きが気になります!