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誰も知らない、高嶺の花の裏側3
第119話 〚胸が先に、知ってしまう〛
― 澪視点 ―
久しぶりに、
心臓が痛んだ。
ズキッ、じゃない。
ぎゅっと、内側から。
(……やだ)
視界が、
一瞬だけ遠くなる。
◇
手を、
掴まれる。
離れない。
繋がれる。
無理やり。
声が出ない。
足も動かない。
――助ける影。
引き離されて、
ほっとした。
でも。
次の瞬間、
逃げ場がなくなる。
距離。
視線。
背中が、
詰まる。
◇
「……っ」
気づいたら、
胸を押さえていた。
教室。
机。
現実。
(今の……)
息を整える。
誰も、
触れていない。
でも、
感覚だけが残っている。
前にも、
あった。
起きていないのに、
“起きる前提”で
心が動くやつ。
私は、
小さく深呼吸した。
今は大丈夫。
今は、
守られている。
それでも――
胸の奥が、
静かに言う。
気をつけて。
理由は、
まだ分からない。
でもこれは、
妄想じゃない。
警告だと、
分かってしまった。