「殺人的人格」
両角斑羅著
ある1人の男性、両角 生喜子(もろずみ いきこ)の悪夢が現実に、、、
残酷な悲劇(きげき)を皆も見ていてくれ。
第一章「人格」
ある一人の男性。両角生喜子(もろずみ いきこ)の悪夢が現実に、、、
残酷な悲劇(きげき)を皆も見ていてくれ。
いつも夢の中で見るのは人を殺している自分の姿。知らない人の体を毎日のように夢の中で人体を切り裂いている。
今まで毎日こんなもんだと思っていた。
2015年9月3日 8時30分
カーテンが全て閉め切っている部屋の中。ベットの上にある布団の膨らみがムクリと動いた。その中から出てきたのは、一重の目の下にくまができている黒髪の男の子。両角生喜子(もろずみ いきこ)18歳 男性。
生喜子はゆっくりと布団から起きてリビングへ向かった。彼の身長は170cmくらいであり体型はやせ細っていた。一軒家で暮らしているけれどもどうやら一人暮らしのようでリビングには仏壇が置かれており父と母らしき人の写真が置かれていた。
両角という者似合う言葉は「孤独」と「哀れみ」という2つの単語だけだろう。
彼は虚ろの目でありそれには一切の光を宿してはいなかった。誰もが彼の考えなんて分かるはずがない。
いつもは静寂を好むが今日の彼は久しぶりにテレビをつけた。やっと家に光が灯ったのだ。彼はため息を吐きながら朝食の準備に励むとあるひとつのニュースが耳に入ってくる。
「9月3日午前のニュースをお届けします。渡辺アナお願いします!」
「はい!まず一つ目のニュースです。
「昨日の深夜。烏間町(からすまちょう)の北烏間公園、東烏間公園、西烏間公園、南烏間公園にてキャリーケースの中に各1本ずつの頭と腕と足の遺体が見つかりました。鑑定の結果この遺体はこの町に住む40代男性、椎名 春矢さん(しいな はるや)の遺体であったことが判明致しました。警察署によりますと犯人の姿は判明しており白髪の男性らしき者がキャリーケースを運んでいる所を防犯カメラで収められておりこの頃立て続けに行われている連続殺人としてその捜査が行われております。」
彼は驚きを隠せなかった。なぜなら彼が夢で引き裂いてた男だからだ。でも彼は咄嗟にこう考えた『僕のはずは無い。だって昨日は21時には布団に入ってたしそれに髪色だって違っている。だって夢だから全て偶然だよ。』
すると、報道したニュースキャスターの横に更に2人のニュースキャスターが長い机に座っていた。
「それにしても怖いですね。頭と腕、足は見つかっているのに何故体がないのでしょう。」
「そうなんですよ。世の中、物騒ですね。」
「それにしても犯人はまだ野放しなんでしょ。これじゃ安全とは言えませんよね。私じゃ外も気楽に歩けないね。」
「そもそも外なんて歩きます?」
1人のツッコミで笑けてる中。両角だけは笑える様子はない。彼だけは真逆であった。
「人が殺されたのに笑う世の中か。」
彼は朝ごはんを食べ終わり歯を磨き身支度を済ませ仕事へと向かった。
同日8時30分
森下(もりしも)市警察署
ある1つの部屋に何百人もの刑事が長テーブルの座席に座っておりその上には事件の詳細の用紙が一人一人に配られていた。
その一番前には刑事長の鷹島 信彦(たかしま のぶひこ)が座っていた。
「これから昨日の事件についての詳細を話す。昨日も同じ犯行だ。40代男性の椎名春矢さんが東西南北にある烏間公園にて手と足と頭がキャリーケースの中に詰め込まれている遺体を発見したとの情報が入った。これと同じ事件が20件を超えている。」
「ちっ、今日もかよ。」
「きっとこの調子だと『犯人の身柄は未だにわかっていない。』がくるぞ。」
真ん中の席に座っていた小林 武(こばやし たける)46歳と小野寺 悠哉(おのでらゆうや)35歳がコソコソ話で話している。
「犯人の身柄は分からないが犯人の特徴のひとつは判明した。」
武と悠哉は驚いて目が丸くなり体が少し前のめりになった。
「犯人の髪色は白髪である。」
「髪が白。身長は確か170cmほど。それさえ分かればあとはこっちのものだな。」
「これを頼りに操作に当たってくれ。それでは起立!!解散!!」
「「「はい!!」」」
(絶対に見つけ出してやる。)
鷹島の言葉と共に刑事一同はその場を跡にする。
武の思いと共に。
同日 17時
森下駅待合室にて。
ぽつんと一人座って片手にはカフェオレのペットボトルを持ちながら深くため息を吐いた両角の姿があった。彼は未だにあの朝のニュースで頭を悩ませているようだ。
(あれは僕では無い。万が一そうだとしても僕は白髪ではない。)
ずっとそう思っているのだ。今日一日中ずっと。
嗚呼哀れな人だ。
待合室に着いていたテレビにもそのニュースが流れ込み両角の目を引く。すると嫌悪感を抱き眉間に皺を寄せる。
ピンポンパンポン、「17時20分発の烏間行きの電車が参ります。ご乗車の方は3番ホームが乗り場です。」ピンポンパンポン
放送が駅中に鳴り響く。
「とりあえず帰るか。」と両角は重たい腰を上げ帰りの電車へと向かう。
3時間後
家に着きほっとした私はリビングに向かいテーブルに腰をかけカレンダーを見て想いを巡らせる。
「明日は通院日か」と。
両角はそう思い冷凍チャーハンを食べお風呂はシャワーで終わらせすぐ布団に入り眠りについた。
同日 21時
武と悠哉は警察署で頭を抱えていた。
「今日は何もなしか。」
「あるわけねぇ。顔も目も詳細なく。髪色と身長で判断するのは難しい。」
「さすがに一日で見つかるわけねぇか。」
悠哉はタバコを口に咥え火をつけ煙を吐き出した。
また見るあの悪夢。今日は女性を殺している。全く知らない人をまた殺し引き裂いている。両角は嫌だと言うかのように起きると何故か前の方にうつ伏せになっていた。周りは電気がついておらず暗闇に包まれていた。可能な限り辺りを見渡すと学校のような教室のようなところにいた。机が並べられており黒板には落描きがされていた。床を見る限り木製でホコリが溜まっているのが分かり、両角は廃墟にいるのだと悟った。
ゆっくりと体を起こし付いた埃を払っている時、段々と目が慣れ始め少し先になにか四角い箱があるということがだんだんと分かってきた。その箱は白く腰あたりまでの大きさだった。そっちの方へ1歩ずつ近寄っていき目の前でやっとその正体がわかった。 それはキャリーケースだったのだ。両角は固唾を飲み込み怯えながらゆっくりとそれを開けた。
ゴロン、、、
落ちたものを両角が見た途端、驚きを隠せなかった。それは女性の頭だったのだ。
「ひぃぃぃ!!」両角がそれを見て驚きとともに吐き気を催したがそれを抑えるよう口を手で塞いだ。
よく見てみると夢で殺していた女性と同じである。
両角の意識は限界を向かえ、後ろに倒れた。
ピピピピ、ピピピピ、、、
9月4日8時30分
両角は冷や汗と共に目を開けた。
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