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ya×et
etさんと出会ったのは、大学でのクラスがきっかけだった。最初はただの同級生だと思っていた。控えめで物静かな彼女のことは、最初は気にも留めなかった。でも、いつの間にか彼女と目が合うたびに、少しだけ胸が高鳴るようになっていた。
彼女はどこか神秘的で、他の誰とも違う空気を持っていた。普通の大学生だと信じて疑わなかったが、どこか不安定で揺らぐような雰囲気を感じることがあった。それは、どうしても理由が分からなかった。
香水の匂いだって、他の女性と違っていた。ふわりと甘くて、どこか夜の世界を感じさせる匂い。思わず深く息を吸い込んでしまう。
俺には秘密がある。昼間は大学生として普通に過ごしているけれど、夜はホストクラブで働いている。別の顔を持っていることを、etさんには絶対に知られたくない。もし彼女がそのことを知ったら、どう思うだろう?きっと、俺に対する見方が変わるに違いない。
だから、俺は彼女に何も言わなかった。俺が夜の世界で生きていることを、隠していた。けれど、etさんもまた、何かを隠しているように感じていた。いつもどこか遠くを見つめているような、あの瞳に俺は引き寄せられていった。
ある日、俺たちはカフェで顔を合わせた。少しだけ普段よりも距離が縮まった気がして、何かが始まる予感がしていた。
でも、彼女は何も言わなかった。ただ、微笑みながら目を合わせてきて、それだけだった。俺も同じように微笑み返すことしかできなかった。お互いに、言いたいことがあった。でも、それを口に出す勇気はなかった。
その日の帰り道、心の中で少しだけ彼女に対して疑問を抱いていた。 etさん、もしかして、彼女には彼氏がいるのだろうか?そんなことを考えながら歩いていると、ふと、彼女が以前言っていたことが頭をよぎった。
「最近、忙しそうだね。大丈夫?」
その言葉に、少しだけ引っかかりを感じた。もしかして、俺が彼女に対して何か感じ取られているのだろうか?それとも、俺が彼女を気にしていることに気づいて、少し距離を取られているのだろうか?
その夜、ホストクラブで働いていると、何か心が落ち着かなかった。いつも通り、お客さんと会話をしているときでも、心のどこかでetさんのことが気になって仕方なかった。香水の匂いが、ふとした瞬間に思い出されて、そのたびに心がざわつく。
その後、数日が過ぎた。お互いに会うことは少なくなり、話すことも少なくなった。俺は心の中で、彼女に対して少しずつ疑念を抱いていた。彼女、もしかしてホストにでも通っているのだろうか?それとも、俺と同じように、昼と夜で全く違う世界を生きているのだろうか?それを考えると、どうしても胸が苦しくなった。
次に etさんと会ったとき、彼女は少しだけ顔を曇らせていた。目を合わせることなく、視線をそらすようにして、言葉を続けた。
「最近、なんだか、少し疲れてるみたい」
その言葉が、俺の胸を更に苦しくさせた。少しだけ距離を置かれたような気がした。もしかして、彼女も俺と同じように疑っているのだろうか?
その日から、俺たちの関係はどんどん薄くなっていった。何を話しても、どこか心の中で壁を作ってしまっているような気がした。お互いに、何かを隠しているという事実が、それをますます難しくしていた。
俺はどうしても、彼女に対して疑念を抱いてしまった。彼女には彼氏がいるのだろうか?それとも、他の男性に心が動いているのだろうか?そして、俺もまた、彼女が自分の仕事を知ったらどう思うのかが怖くて、距離を置くことを選んでいた。
でも、心の中では、彼女に会いたいと思う気持ちが消えることはなかった。お互いに近づきたいと思っているのに、それを言葉にすることができない。そのもどかしさが、さらに距離を広げていった。
その後、俺たちはほとんど会うことがなくなった。もしも会ったとしても、何か言葉を交わすことがなく、目を合わせることもなく、ただ通り過ぎてしまうような気がした。
お互いに心の中で何かを感じながらも、それを口に出さず、少しずつ関係が遠くなっていく。二人とも秘密を抱えたままで。
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