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「莉奈、ここだよ。
連れてきたかった場所は。」
蒼がそう言って、私を1歩前に出させる。そこには、小さな太陽のように堂々と咲き誇る向日葵があった。
「え。
冬にも向日葵は咲くの?」
「俺も初めて知ったよ。」
「たまたま、調べてたら、品種改良とかで冬にも咲く向日葵があるらしい。」
蒼の言葉に、私は驚きを感じていた。
最近、季節が冬だったから、見たくても向日葵は見れないと思ってたのに…
一面中に咲き誇る向日葵は、
今、隣にいる、明るくて、思った以上に、驚きやさんで、それでも頼りになるそんな蒼に重ねて見れた。
どうしてだろうか…
この気持ちは、今まさに、私の中で弾けている。風に揺れる、向日葵、その向日葵に囲まれて立つ私たち。
成功するかなんて分からない、けれど…
今しか私には出来ない気がする。この気持ちが素直に自分から言えるのはきっと…
「莉奈っ!」
「蒼っ!」
今しかないと考えたら、もう口が勝手に動いてしまった。それと同時に蒼も私の名前を呼んでいる。
その瞳は強く光り輝いている。この真剣な顔立ちは…
まさか、きっとそんなわけない。頭を少し振り、1度気持ちを整える。落ち着け、私、今しかないんだ、ならちゃんと、した様子で言いたい、伝えたい。
「先に、どうぞ◜▿◝」
私は蒼に譲る。まず、私の気持ちを整理してから、完璧な状態で言いたいから…
「あ、ありがとう。」
蒼はにこりと笑うと、向日葵のほうを向いて、小さく話し始める。
「俺がさ、転校してきた時、
莉奈はね、全く気にしてないっていう様子で、そっぽを向いてたんだ。」
風に揺れる、蒼の綺麗な髪と、夜空に光る星が私たちに降り注いでくる。
そうだったなぁ。私は蒼が転校してきてから、出会ったんだ。
当たり前のことなのに、なぜか当たり前じゃないみたいで、
私にもよくわからない感情が襲ってくる。
「俺は、その時から、莉奈が特別に見えて仕方なかったんだ。」
「だから、そのあと、頑張って話しかけた。自分で勢いよく話しかけて、おじおじしちゃったのはほんとに恥ずかったけど…」
蒼は、私の瞳をじっくり見つめた。”特別”という言葉に私は凄く反応してしまう。特別の意味ってなんなんだろう。
私の瞳を見つめる蒼はなにを思ってるんだろう。
私は…
「莉奈…
俺は、莉奈のことが好きだ。」
「優しくて、心暖かくて、いつも包み込んでくれる…
“向日葵”みたいな莉奈が」
風の音だけが、向日葵の間をすり抜けていった。
その一瞬が、やけに長く感じた。