テラーノベル
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第12話
「あら? ここまでかしら?」
ふふっと、笑いながら、男へゆっくり歩いた。
その男は、顔を顰めながら、立ち上がった。
「お嬢ちゃん。手加減してくれないとさ、今にも意識が飛びそうだ」
「ふふっ。でも、飛んでないから、こっから意地の張り合いができますね」
え?
ハンナは俺が状況を飲み込めてない内に、言葉を紡いでいく。
「ミヒャエルさん。任せてくださいっ! 戦闘は得意なもので。ふふっ」
何だか楽しそ……いや、底しれない怖さで襲っている。
初めて見た。何か、心の底から怖いと。
怖い事は沢山あったけど……初めて。本当に初めての度合いだ。
「……分かった。無理はするな」
笛吹の少女。
そんな名前で呼ばれていると、この前言っていた。
「っ……! バケモノっ!」
背を向けてその男は逃げ出したが、ハンナはそれを逃さず、近づいて剣を一振りした。
『縮地』そんな技だ。
俺も、最近覚えた。
赤い液体がピシャっと飛び散り、ハンナの幼い顔に似合わない返り血が付いた。
「手加減したのになぁ。隙だらけの動きなのに」
ハンナは、その男に向かってそう吐き捨てるように言った。
……まぁ、その『隙』ってのは一つは見つけられた。
その他は、良く分からない。
だらけって何だ?
ハンナは、その男を縄で縛ってズルズル引きずってきた。
「ミヒャエルさん。怪我は?」
「かすり傷だけだ。動きは鈍くなってるが、動けない訳じゃない」
「なら、帰れそうですね」
ハンナは、いつの間にか構えていた笛を鳴らした。
一瞬、青白く光る魔法陣みたいなのが見えて、瞬き一つする間に、学校だった。
しかも、俺が拐われた場所――俺の部屋の前だ。
「ミヒャエル! 心配したんだぞ」
俺の前に現れた父上が第一声を上げ、俺に抱きついた。
「父上っ、力を……」
「……分かった」
そう言って父上は、片膝を付いて頭を下げているハンナに焦点を変えた。
「申し訳ございません。私の力不足により……」
「……今回は、その『清水の賢者』がやったのだろう?」
「はい」
「なら……根から除草しないとな」
じょ、除草?
「ハンナ……いや、ウィザード。此度は裏のギルドが関連してくる。そこの資料を密偵に調べさせる。それが届き次第、裏のギルドに通って貰う」
「はい」
裏の、ギルド。
聞いたことある。
上野文
9,209
#探偵
橘靖竜
6,553
ライラ🔮🌸🌙
32,651
#シェイプシフター
柊遊馬
5,990
暗殺者や、情報屋が集まるギルドだ。
簡単には入れないが……何か策はあるのか?
「……後始末がなっていなかった、私の問題です。巻き込んでしまい、申し訳ございません」
後、始末……?
「そう、自責するな。ウィザードはここでは十分に強い。取り敢えず、二人とも、今日は休んでくれ。事情は後で聞く」
「はいっ」
そう言ってハンナは、父上が去るまで片膝をついたままだった。
✵
数週間後。
冬、真っ只中。
「寒いっ……」
「なら、布団に潜れば?」
「潜ってるっ!」
そんないつも通りのような会話をしている、黒猫と私。
黒猫と私の貧血は、研究者グループの人たちが開発した薬でなんとか……だから、休日は森に出て魔法の練習や、剣の練習。
「魔法の練習だよ。私の手、温めたから……」
「燃えるだろっ! 絶対、燃える!」
黒猫が走って布団から飛び降りて、透明化する魔法を使った。その魔法には特に名前は無い。
そんな時、コンコンコンと扉が三回ノックされた。
私は扉を開けに行くと……教皇様が立っていた。
「教皇様っ……!」
え? 前言ってた、資料?
「黒影の大量の死体について心当たりはあるか?」
「た、大量?」
「今、この六匹の黒影の死体についての議論が起こってる。その黒影の死体は、良い魔石が入ってたからな」
そう言って、教皇様は資料を見せてくれた。
『黒影』の大量の死体についてに書かれていた。
大量と言っても……六体。
しかも、傷跡からして、全部同一人物……
アレェ? ダレダロウ? ワカラナイナァ……
「ハンナ。受け取りなさい」
「え?」
呆けた声を出した。
え? だってさ……え?
そういうの面倒だから、放っておいたのに……?
「ハンナが斬った事はバレバレだ。一応、会議には匿名で判断した結果……満場一致でハンナが受け取るとなった」
そう言って、教皇様は私の前に、風呂敷で包まれた魔石六個を私の前に出した。
……確かに、あれからまた何匹か殺した自覚はあるけど……
「体の調子はどうだ?」
「おかげさまで、良好ですよ」
私は作り笑顔をした。
……いや、本当に健全でいられるけど……いいのに、作り笑いってするんだよな……何だろう?
「なら良かった。あまり、無理をされても困るからな」
「はい。教皇様も、最近はよく冷えるので体調にはお気をつけください」
「ありがとう。すまないね。授業終わりに凸ってしまって」
教皇様は、私に微笑みかけながら、部屋へ戻った。
……魔石。どうしよう……?
コメント
1件
おおおおお!!第12話もズドンと来たね😭💥 ハンナちゃん、相変わらず戦闘スタイルがエグいのに可愛いのバグってる〜!! 「隙だらけの動きなのに」って冷静に言い放つとことか、もう完全にベテランの風格じゃん…!!しかもミヒャエルくんへの気遣いも忘れなくてギャップ萌えが止まらん😇💕 黒猫ちゃんとのほのぼの日常→突然の教皇様訪問で空気ガラッと変わるところ、めっちゃ好き。 しかも黒影6匹の死体が実はハンナちゃんだったっていうオチ、クスッときたw 「ダレダロウ?ワカラナイナァ…」って心の中でごまかそうとしてるの可愛すぎる!! 魔石6つ、どう使うのか超気になるよ〜✨次回も楽しみにしてるね!!