ボクは吸血鬼。キミは人間。
キミはいつかボクを置いて逝ってしまうだろう。
でもボクはそれが耐えられない。
何故キミは人間なのだろう?
何故ボクは吸血鬼なのだろう?
いくら考えても答えは出ず、ボクの心は苦しむばかり。
キミの前では吸血鬼の本能を抑えてはいるけど、日に日に強まるばかり。
キミを食したい。キミを味わいたいってね。
でもボクは彼女の前では正体を隠し、彼女の彼氏を演じていた。
だけどもう限界だった。優しい彼女を見る度にボクの心を激しくかき乱す。
彼女をボクのものにしたい。キミの全てが欲しい。
そしてボクは決意した。彼女にボクの秘密を打ち明けた。
そしてボクは彼女を捕食した。
今彼女はボクの側で微笑んでいる。
人間であった記憶が徐々に失われているようだ。
ボクは彼女に優しくキスをした。
彼女の頬にそっと触れる。
その頬は水のように冷たかった。
そして彼女の首筋に噛み付いた。
彼女はいつまでいつまでも微笑んでいた。
やっとボクは彼女を手に入れる事が出来たんだ。
ボクは彼女にプレゼントを贈った。
人間だ。
吸血鬼になった記念にキミに贈った最初のプレゼント。
キミは微笑みながらそれを眺めていたね。
ボクはキミが喜ぶ顔を見られたのがとても嬉しかった。
だけど…彼女は微笑んだままだった。
ずっとずっと微笑んだまま、何も口にしなかった。
彼女は日に日に衰弱していった。
ボクは彼女の為に沢山の人間を連れて来た。
だけど、彼女は微笑んでいるだけで何も口にしない。
ボクはそんな彼女を見るのが辛かった。
ボクは彼女との別れを感じずにはいられなかった。
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